日本語教師養成講座の単元テスト用として自己学習のために作った穴埋めノートです。
空欄を選択すると答えが表示されます。印刷時は答えを表示しています(倍率70%が◎)。
評価法とICT「熟達度テスト・プロフィシェンシーテスト」「到達度テスト・アチーブメントテスト」「テストの種類」「テストの採点」「著作権」「得点の分析」「テスト以外の評価方法」「コンピュータを使った教育」「IRT」などについてのまとめです。
評価の種類
熟達度テストと到達度テスト
- 熟達度テスト(プロフィシェンシー・テスト):一定の基準に達しているかのテスト。合否がでる、○級とか。認定評価。
例:日本語能力試験・インタビュー形式のOPI(Oral Proficiency Interview)・英検。
選別的評価:入学試験・組分けのためのプレースメントテストも熟達度テストに入る。熟達度に応じてクラスを振り分ける。 - 到達度テスト(アチーブメント・テスト):一定期間に習得した内容のテスト。点数がでる。測定評価。
例:中間テスト・課テスト・定期テスト・単元テスト。
評価の時期による分類
- 診断的評価
実施時期:コース開始前。
例:レベルをみるレベルチェックテスト・組分けのためのプレースメントテスト - 形成的評価
実施時期:コース開始後。
テストの結果を基に、学習の進行に応じて。指導方法を検討・改善する。
例:課の途中で行う小テスト・単元テスト・中間テスト。 - 総括的評価
実施時期:学期修了時・コース修了時。
テストの結果を基に学習者を得点順に並べ、成績を付ける。
例:期末テスト。 - 外在的評価
実施時期:学習機関外で任意の時期
例:日本語能力試験・英検・TOEIC。
評価の基準による分類
- 相対評価
同一集団内での評価。上位○○%が合格。他の人の点数に左右される。評価者の主観が入りにくい。
例:日本語教育能力検定試験 - 絶対評価
一定の評価基準で判断。他の人の点数に左右されない。- 到達度評価:○○点以上が合格。評価者の経験に基づく主観的な評価。
- 個人内評価:個人の特性を評価。
テストの種類
- 客観テスト:答えは一つ。コンピューターでも採点できる。
- 主観テスト:小論文や作文など。
客観テスト
- 再認形式:選択肢の中から答えを選ぶ。
- 再生形式:解答を書き込む。
再認形式
- 真偽法:正しいものに○、正しくないものに✕を書きなさい。
- 多肢選択法:正しいものを選びなさい。
- 組み合わせ法:線で結びなさい。
- 再配列法:並び替えなさい。
再生形式
- 単純再生(穴埋め)法:空欄を埋めなさい。
- 訂正法:正しく書き直しなさい。
- 完成法:文を完成させなさい。「今にも雨が〇〇」
- 質問文作成法:会話を作りなさい。Q「〇〇」/A「ええ、いいですね」
- 質問法:長文を読ませて質問に答えさせる。「かおりさんは、いつ行きましたか?」
- 連想法:例を参考にして変換させる。「新しくないです」→「古いです」
- 綴り法:ひらがなを漢字に、漢字をひらがなにしなさい。
テストの採点
テストの採点は公平でないといけないが、主観テストの場合は以下のようなゆがみが生じて評価に影響する。
- 後光効果(ハロー効果):第一印象以外に字がきれい・挨拶してくれるなどの要素で評価。(ごこう)
- ラベリング効果:第一印象で評価。印象のみ。
- 系列効果:悪い答案が続いた後によい答案を実際以上に高く評価する。
- 中心化傾向:高くも低くもない評価をする。
- 対比誤差:先生が基準に従わず独自に評価。
カクテル・パーティー効果
カクテル・パーティー効果:駅や教室など日常生活の中で様々な声が聞こえる場で、相手の言葉に選択的に注意を向ける。
自分に必要な言葉だけ聞き取る能力。
「既有の知識」が呼び出される。→長期記憶に保存されている。
著作権
他人の作品の複製は一切ダメだが、教育機関においては利益が損なわれない場合のみ例外措置がある。
著作権侵害にあたらないもの
- 他人の作品(市販ではない)をコピーして配布。
- 他人の作品(市販ではない)を使って問題を作成して配布。
- 他人の作品(市販ではない)を引用して利用。
- ウェブ上の動画を教室外でも視聴できるように動画のURLをSNSにアップする。「ウェブ上の動画のURL」は公開されているものなので、URLに著作権はない。
- ニュース動画のスクリプトを聴き取って書いたものをコピーして授業で配布。
この例外措置は、以下の場合に限られる。
- 出典を明らかにする。
- 教員・児童・生徒・学生によるコピー。
- 必要な部数内でのコピー。
- 一過性の保存。授業の時間だけ一時的にならOK。
著作権侵害にあたるもの
- 市販の問題集をコピーして配布はダメ。
- ウェブ上の著作権登録がされていないデジタル教材を選んで使用する。著作権は登録の有無に関わらず発生する。
- 市販の聴解教材を学習者のみに限定してSNSで共有する。
得点の分析
- 平均値:全受験者の合計を受験者数で割った値。
- 中央値:10点・9点・9点→9点(9.5点じゃない)。並べた時の中央の値。
- 最頻値:多くの受験者が取った点数。
得点の分布状況を見るには
- レンジ:最高点と最低点の間の散らばりを見る。
- 標準偏差(SD):得点のばらつきを表す。得点分布の散らばり・広がりの程度を示す数値。
標準偏差の計算方法
- クラスの平均点を出す。
- (得点ー平均点)を2乗する。
- 人数分を合計する。
- それを人数で割る。
- その平方根(√)を求める。
標準偏差=√{([Aの得点ー平均点]の2乗)+([Bの得点ー平均点]の2乗)・・・}÷人数
学習者 | 得点 | 得点ー平均点 | (得点ー平均点)の2乗 |
---|---|---|---|
Aさん | 60点 | 60点ー50点=10点 | 100 |
Bさん | 80点 | 80点ー50点=30点 | 900 |
Cさん | 40点 | 40点ー50点=-10点 | 100 |
Dさん | 20点 | 20点ー50点=-30点 | 900 |
合計点:60点+80点+40点+20点=200点
クラスの平均点:200点÷4=50点
[(得点ー平均点)の2乗]の合計:100+900+100+900=2000
人数で割る:2000÷4=500
500の平方根(√500):22.36・・・≒22.3
標準偏差:22.3点
√1=1
√4=2
√9=3
√16=4
√25=5
√36=6
√49=7
√64=8
√256=16
Can-doリスト
Can-doリスト:日本語能力試験(JLPT)の合格者がこのリストを使って自己評価する。
「Can-do自己評価リスト」とも言う。
これまでの自律学習の経験が、自己評価の結果に影響する。
日本語能力試験Can-do自己評価リスト
「Can-do自己評価リスト」はできるかできないかの質問票でJF日本語教育スタンダードの「Can-do statements」とは別物。「Can-do statements」が基にはなってる。
テスト以外の評価方法
- 観察記録法:レポートの提出状況・授業態度で評価。
- 自己評価:学習意欲を起こさせる・自分を肯定させる・できるようになったことを認識。
- ポートフォリオ:学習者が学習中に作った資料や成果物(論文・テスト)をファイルにまとめる。
- レポート法:レポートを書かせる。
- アンケート調査法:学校への評価。
ティーチング・ポートフォリオ(TP)
教師としての自己の成長の過程と結果を記録するもの。
記述の要素は、責務(責任)・理念・方法・成果・目標の5つ。
共同作業者(メンター)がつくことが奨励。
同僚の授業を観察・分析するものではない。
よいテストの条件
よいテストの条件は、妥当性・信頼性・有用性がある。特に妥当性が重視。
- 妥当性:聴解テストで選択肢に書かれた漢字が読めない。
- 信頼性:選択肢が少なくて適当に選んでも正解する。
- 有用性:テストが実施しやすいかどうか。
- 効率性:時間や手続き方法。
- 実用性:費用・設備。聴解テストで救急車やサイレンの音がする。
コンピュータを使った教育
- ブレンディッド・ラーニング:対面とコンピュータを組み合わせた学習方法。
- アフォーダンス:ペットボトルのゴミ箱は口が丸いデザイン。
- WBT(Web Based Training):サイトの使用などインターネットを使った教育。eラーニング。
- ユビキタス:いつでもどこでも情報が得られること。
- デジタル・デバイド:PCを使える人と使えない人に差ができる。
- リライト:学習者が分かる表現に書き換える。
- コピーライト:著作権のこと。
- CMI:成績管理・出席管理のソフトのこと。
- 反転授業:教室外で予習を行い、教室ではその確認と応用を行う。自習→教室(従来は、教室→自習)。
- CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠組み):生活状況に沿って複数の言語を使用できることを目指す復言語主義。
e-learning
- 非同期型:インターネットにより動画や教材を配信する
- 同期型:教師が行う授業をリアルタイムで遠隔地に配信する
インストラクショナル・デザイン(ID)
ADDIEモデル:e-learningの効率を上げるために、5つのプロセス「分析(Analysis)・設計(Design)・開発(Develop)・実施(Implement・評価(Evaluat)」を繰り返して改善していく。
IRT(項目応答理論)
IRT(項目応答理論):本テスト作成前に予備テスト(試行試験)を行う。
大規模試験で採用される。年度で行う試験で、難易度を基準に採点するのではなく、共通した基準(評価項目)をもって採点する。
統計的に得点化、絶対評価。上位20%とかではない。
複数の試験の難易度を同等にする。
素点(ただの点数)ではなく、どの問題に正解したかで得点が決まる。→尺度得点
日本語能力試験(JLPT)・日本留学試験(EJU)・BJTビジネス日本語能力テスト。英検も。