9.日本語教育文法

【日本語教師養成講座】9.日本語教育文法|①(動詞/形容詞/名詞/指示詞コソア/ダイクシス/副詞/助動詞/連体詞/接続詞/感動詞/助詞)

9.日本語教育文法|①

日本語教育文法「動詞」「形容詞」「名詞」「指示詞コソア」「ダイクシス」「副詞」「助動詞」「連体詞」「接続詞」「感動詞」「助詞」などについてのまとめです。

品詞

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日本語には9つの品詞がある。動詞形容詞名詞副詞連体詞接続詞感動詞助動詞助詞

動詞

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Ⅰ型動詞(1グループ)

五段活用動詞:「書く・話す」。
話す:サ行五段活用。
行く:テ形の作り方がルール外「行きます→行って」。

Ⅱ型動詞(2グループ)

上一段活用動詞:「見る・できる」。
下一段活用動詞:「食べる・出掛ける」。
「る」で終わる。「取る・知る」は1グループ。

不規則変化動詞(3グループ)

カ行変格活用:「来る」。
サ行変格活用:「する」。
〜する:サ行変格活用「勉強する・信ずる・成功する・愛する」。

肯定形式と否定形式

「挨拶します」の否定は「挨拶しません」だが、「失礼します」の否定は「失礼しません」とはならず否定形式がない

テモラウ

「走る」→「走ってもらう」。
「開ける」→「開けてもらう」。
「開く」→テモラウは作りにくい。

形容詞

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状態・性質・感情・感覚を表す。後ろに名詞を付けるとイ形容詞かナ形容詞か分かる。

感情形容詞と属性形容詞

  • 感情形容詞:楽しい・不安だ・うれしい。
    本人の感覚も感情形容詞「苦手な・得意な・かゆい・痛い」。
  • 属性形容詞:明るい・おとなしい・有名だ・しずかな。

感情・感覚の形容詞

感情・感覚は1人称ではそのまま使えるが、3人称ではそのまま使えない。
・1人称「私は楽しい」
・3人称「彼は楽しそうだ」→「そうだ」がつく

どの語を形容するか

後ろの語を形容するか、前の語を形容するか。
・「将来のことを真剣に考える」→「真剣に」は「考える」を形容。
・「彼女は若く見える」→「若い」は「彼女」を形容。

イ形容詞

連体形(名詞にくっつく形)が「イ」で終わる。「大きい(家)・美しい(花)・うれしい(話)」。

イ形容詞の辞書形:「白い」。
イ形容詞の連体形:「白い」→「白い服」の「白い」が形容詞の連体形。
イ形容詞の連用形:「白い」→「白く・白くて」。(「て」を付ける)

連用形がウ音便「白う・白うて」になったら、京言葉になる。

イ形容詞の連用形:「すごい」→「すごく」。

「すごい速い」は、イ形容詞「すごい」を副詞的に使って、後続の「速い」を強調している。

ナ形容詞

連体形(名詞にくっつく形)が「ナ」で終わる。「静かな(海)・きれいな(花)・有名な(先生)」
国語では形容動詞。

ナ形容詞の辞書形:「好きだ」「同じだ」。

ナ形容詞「同じ」

「同じ」はナ形容詞だけど活用が違う
「同じ」の連体形:「同じ本」→「同じ本」にはならない。

名詞

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普通名詞・固有名詞・数量詞・代名詞(人称代名詞・指示代名詞)・形式名詞の5つがある。

代名詞

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  • 人称代名詞:「わたし・あなた・かれ」。
  • 指示代名詞:「こそあど」→指示詞と呼ばれる。

名詞:指示詞「コ・ソ・ア」

指示詞は品詞ではない。

指示詞「コ・ソ・ア」の用法

  • コ系指示詞:話し手の身近にある情報。「こんなことがあったんです」
  • ソ系指示詞:既出の語句。指示対象が先にくる。「それは信じられない」
  • ア系指示詞:話し手の頭にあるイメージ。話し手も聞き手も直接知っている物事を指す。「あいつは」
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  • 名詞的用法:「これ・ここ格助詞を続けることができる。
  • 連体詞的用法:「この・こんな名詞(体言)を続けることができる。
  • 副詞的用法:「こうする・ああ言う動詞形容詞(用言)を続けることができる。

指示詞の用法:現場指示と文脈指示

  • 現場指示:「すみません、それ取ってください」。
  • 文脈指示:「松本さんって知っていますか」「いえ、その人はどんな人ですか?」→話し手も聞き手も松本さんを知ってる訳ではないので「あの」は使えない。

指示詞の用法:文脈指示の共有知識

「昨日、松本さんに会ったよ」「あの人最近どうしてる?」→「その人」はおかしい。

  • 共有知識:「」系列
  • それ以外:「」系列

ダイクシス

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ダイクシス直示表現。その場にいなければ理解できない表現。語用論的。

  • 指示詞:現場指示「ここ・そこ・あそこ」「こちら・そちら:あちら」
  • 人称代名詞:「彼・わたし」
  • の名詞:「先月・今月・来月・今週・昨日・今日・明日・今週」「後ほど」
  • 「川の向こう側・こちら側」

ダイクシスではないもの

語用論的な特定は必要ない。

  • 文脈指示の「こ・そ・あ」:「駅まで歩いて、そこから電車に乗ります」
  • 文脈で時点が特定される場合:「前日・翌日・前年・翌年・次の日

形式名詞

34

単独では意味が分からない。

「それはみんなが知っていることです」。
「彼がここに来るはずがない」。

モダリティ

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「親切心を誤解されるのは残念なことだ」→形式名詞ではない
この使い方のように、述語形式「〜ことだ」にして気持ちを表すことがある。

モダリティ
「〜ことだ」の場合は、勧め(アドバイス)と詠嘆(感情)の2つがある。

  • 勧め:いろいろ言われてもあまり気にしないことだ→対人的モダリティ。
  • 詠嘆:4連続メダルなんて、本当にすごいことだ→対事的モダリティ。

副詞

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様態副詞(情態副詞/状態副詞)・程度副詞・陳述副詞の3つがある。

  • 様態副詞:「ゆっくり歩く」「ふらふら歩く」
  • 程度副詞:「ずっと大きい」「けっこうおいしい」
  • 陳述副詞:「たぶん雨だろう(推量)」「決して泣かない(否定)」「めったに泣かない(否定)」

様態副詞(情態副詞/状態副詞)

動詞にかかる。事態の開始とともに発生し終了とともに消える。「ぱちぱち・ちらちら」。動き様態の副詞。
オノマトペには擬態語と擬音語がある。

  • 擬態語:実際には聞こえない。「ふらふら」。後ろに「に」を付けると副詞的になる。平仮名で書く。
  • 擬音語:実際に聞こえる音。「雷がゴロゴロ」。片仮名で書く。
  • 擬声語:人や動物の声は「ワンワン」。片仮名で書く。片仮名で書く。
  • 畳語:ただ重ねて言うだけ。「ひそひそ・しぶしぶ・キラキラ」

擬態語+「に」:結果を修飾する。「かちんかちんに凍った」
2拍の擬態語に接尾辞「つく・めく・ばる」を付けると動詞になる。
・「いらいら」→「いらつく」
・「きらきら」→「きらめく」

程度副詞

段階的な程度「びしょびしょ・からから・ちらちら」「かなり・だんだん」「けっこう・すぐに」。動きが終わった結果の動詞。

瞬間的ではなく漸次的(ぜんじてき)・徐々に変化していく動詞と組み合わせる。
「すごく・かなり・少し→痩せている」。
「喜ぶ・眠る・生まれる」は「徐々に変化」ではなく「瞬間的に変化」する動詞。

「とても」

「とても」には、
・「とても無理だ」:到底無理だ。
・「とてもつまらない」:非常につまらない。
の意味がある。

程度副詞と様態副詞が共起する

「かなりきっぱりと断った」→程度動詞「かなり」と様態副詞「きっぱりと」。

陳述副詞

文末に言葉とセット。「きっと・決して・たぶん・もし・なぜ・まるで」。

  • 推量:「たぶん/おそらく〜だろう」
  • 否定:「決して/めったに〜ない」

他の品詞から転成した副詞

「図らずも」=「図る」の否定形+「も」で、予想していなかったという意味になる。

「急遽」と「急に」の誤用

「雨が急遽降り出した」→「急に降り出した」が正しい。
・「急遽」:意思によって対処する動詞と一緒に使う。
・「急に」:突然の事態に対処する動詞と一緒に使う。自然現象。

助動詞

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「のだ/んだ」

・説明:「目がかゆいのだ」。
・納得・発見:自分に説明する。「雨が降ってるんだ・このレバーを引けばいいんだ」。
・決意・意思:「今日から生まれ変わるんだ」。

断定の助動詞「だ/です」

指定文と措定文(そていぶん)。

  • 指定文:主語=述語。「院長はあの人だ(院長=あの人)」
  • 措定文:主語<述語。「ピーターはアメリカ人だ・私の先生は男の人だ」

連体詞

36

活用しない。以下の3つがある。

  • 動詞に似ている:「ある人」「あらゆる人」。
  • 」がくる:「例の人」。
  • 」がくる:「大きな家」。「大きな」は連体詞で活用しない。「大きい」はイ形容詞で活用する。

「机の上にある本は」→この「ある」は普通の動詞。

接続詞

接続表現

36

・「まず」「次に」:時間的順序だけでなく、重要度の順序もある。
・「なお」「ちなみに」:後件で補足的な情報を求める文が現れるのではなく、補足的な情報に関する文が現れる。
・「一方」:前件と後件が対比だけでなく、両立もある。「この本はやさしく書いてある一方で、内容は深い」。
・「ところで」:「話は変わるけど」の意味以外に「がんばったところで一夜漬けはだめだよ」の使い方もある。

接続詞・接続助詞の違い

  • 接続詞:自立して使える。
    「今は円高である。だから、ガソリン代が値下がりしている」
  • 接続助詞:ほかに語を付加して使う。
    「今は円高なので、ガソリン代が値下がりしている」

感動詞

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応答詞

「はい」には了解(Okay)と肯定(Yes)がある。

了解:「これを至急お願いします→はい」依頼に対する了解。
了解:「食後に飲んでください→はい」指示に対する了解。
了解:「土足で入らないで→はい」注意に対する了解。
肯定:「お荷物はこちらですね→はい」肯定。

助詞

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格助詞・取り立て助詞・並列助詞・接続助詞・終助詞・複合格助詞の6つがある。

  • 格助詞:述語との関係を示す。名詞につく。
    覚え方「鬼までが夜からデート
    →「までよりから」の9語。
  • 取り立て助詞:様々な意味を付与。「は・も」→何を取り立てるか。
    学校教育では係助詞
  • 並列助詞:名詞同士を対等な関係に。「と・か」。
  • 接続助詞:節同士を繋げる。「けれど」。
  • 終助詞:話し手の気持ちを表す。「かな」。
  • 複合格助詞(複合助詞):ひとくくりにしないと意味をなさない。「をもって・について・によって・によると」。

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