日本語教師養成講座の単元テスト用として自己学習のために作った穴埋めノートです。
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日本語教育文法「ら抜き言葉・さ入れ言葉・れ足す言葉」「主節と従属節」「引用節」「順接条件節と逆接条件説」「コロケーション」「連濁」「書き言葉と話し言葉」「省略」「は・が」などについてのまとめです。
ら抜き言葉・さ入れ言葉・れ足す言葉
変化中の標準語。現在も進行中である長期的な歴史的変化。
- ら抜き言葉:「動詞の受身形と可能形の分化」という。
2グループの動詞と「来る」に見られる現象。「食べられる→食べれる」「見られる→見れる」「来られる→来れる」。
受身形と可能形は同じ「食べられる」なのに「受身形:食べられる」「可能形:食べれる」と分けていう。 - さ入れ言葉:1グループの動詞(辞書形が「す」以外)に見られる現象。「書かせる→書かさせる」「終わらせる→終わらさせる」。
- れ足す言葉:1グループの動詞の可能形に「れ」を足してさらに可能形にする現象。「行けれる・読めれる・書けれる・飛べれる」。
複文の構造
複文には文の中心となる主節と従属節がある。
例:
「(主節)田中さんは/(従属節)風邪を引いて/(主節)学校を休んだ」
- 主節:文の最後の述語を中心としたまとまり。
- 従属節:主節以外の部分。従属節では「は」ではなく「が」を使う。
連体修飾と連用修飾
・連体修飾:静かな男性(名詞:被修飾名詞)→名詞を修飾
・連用修飾:急いで帰る(述語)→動詞を修飾
名詞修飾節・連体修飾節
「母は、私がプレゼントした時計を気に入っている」。
名詞「時計」を修飾。名詞の手前までが名詞修飾節。
被修飾名詞の前に使う助詞は以下のものがある。
- 「との」:「合格したとの通知」
- 「って」:「それってひどいよね」
- 「という」:「合格したという通知」
「大使として赴任」は述語「赴任する」の修飾なので名詞修飾節ではない。「する」を省略してるだけ。
外の関係と内の関係
- 外の関係:「誰かが歩く音が聞こえた」→「誰かが音を歩く」は言わない。
- 内の関係:「洗濯機が出す音がうるさい」→「洗濯機が音を出す」名詞が簡単に入れられる。
制限用法と非制限用法
- 制限用法:「あそこに見える山は富士山です」
→何万もある山の1つがあそこに見える山。 - 非制限用法:「日本で一番高い富士山には、毎年たくさんの人が登ります」
→富士山=固有名詞(世界にひとつのもの)の時、非制限。
順接と逆接
順接:「雨が降ったので、道が濡れている」
逆接:「雨が降ったのに、道が濡れていない」
補足節・引用節
- 「〜と」:「世界一であると思う」「店番をしてとお願いする」「怪しいと疑う」「行かないとこぼしている」
- 「〜ように」:「刈っておくように命じた」
引用節「〜と」の主節に使う動詞
- 伝達を表す動詞「伝える」:引用節内にガ格をとる。「お客さんがクレームを言っていると伝えた」。
- 依頼を表す動詞「頼む」:引用節「〜しろと頼む」「〜てほしいと頼む」。
- 発話を表す動詞「言う」:引用節内に終助詞が来る。「お客さんが店長を出せよと言っています」。
- 思考を表す動詞「思う」:引用節内に「デス・マス体」は使わない。「お金持ちになりたいですと思っています」はおかしい。
引用節「ように」のルール
- 発話を表す「ように」:引用節内に過去形も使える。「難しい試験だったように言っていた」。
- 依頼を表す「ように」:引用節内に丁寧体も使える。「してくださいますようにお願いいたします」。
- 命令を表す「ように」:主節を省略できる。「この問題をやっておくように」。
- 思考を表す「ように」:「に」は省略できる。「合格するよう願っている」。
引用の指導
「山口によれば、専門家になるためには大学時代が重要だと指摘している」
引用節:「専門家になるためには大学時代が重要だ」
「山口によれば、〜である」「山口は、〜と指摘している」が正しい。
順接条件節と逆説条件節
条件節・副詞節・連用修飾節。
順接条件節
仮定「と・ば・たら・なら」。「と・ば・たら」は「なら」に置き換えができる。「とばたなら」
- 「〜と」:秋になると、木々が紅葉する。
- 「〜ば」:台風が来れば、運動会は中止。
- 「〜たら」:宝くじが当たったら、家を買う。
- 「〜なら」:沖縄に行くなら、僕も行きたい。
「明日になれば雨もやむでしょう」を「なら」に置き換えると「明日になるなら雨もやむでしょう」となり違和感があり仮定ではない。「僕はお酒なら冷酒だ」も仮定ではない。
逆説条件節
「(従属節)一生懸命勉強したが、(主節)合格しなかった」
→主節と従属節の文体(マス・タ)を合わせる。
身体部位を含んだ表現・比喩
「腹を割って話す」「口を挟む」「手を出す」「耳を貸す」は比喩的な意味の慣用句。
「足を洗って家に入る」は悪いことを辞める意味ではない。
コロケーション
コロケーション=共起。関係している言葉。
「飲む」だと「ジュース」「コーヒー」「あまい」「すっきり」など。
「辞書」だと「引く」や「調べる」など自然な組み合わせがコロケーション。
「ハンガーに服を掛ける」のコロケーションを知らないと「服を付ける」と誤った言い方になる。(ハンガーと言えば掛ける)
誤用
発音上の誤用
- 子音の脱落:「その辺→その円(そのえん)」「後半→公安(こうあん)」「改変→開演(かいえん)」「五本→御恩(ごおん)」
- リエゾン(連音):「千円→千年(senen)」「日本へ→にっぽね(nippone)」
助詞の誤用
- 助詞の選択の誤り:「に」を使わずに「を」を使う。「会食を参加したい」「規則を従ってください」。
- 「と・ば・たら・なら」の「ば」の誤用:「駅に着けば→着いたら」「日本に帰れば→帰ったら」「お会いすれば→したら」「荷物が届けば→届いたら」。
イ形容詞の誤用・ナ形容詞の誤用
- イ形容詞の誤用:「昨日、近いスーパーで」「面白いだ」。
イ形容詞にはダ・デアル体がない。 - ナ形容詞の誤用:「豊かの教養」「このパソコンは丈夫し」。
「一番」の使い方
「吉田先生も一番やさしい先生」は「とても・すごく」を言うべき。「一番」と「も」が矛盾する。
「バスよりも地下鉄で行ったほうが一番早い」は2つの比較に「一番」はおかしい。
連濁
無声子音(カ・サ・タ・ハ)が有声子音(ガ・ザ・ダ・バ)に変化する、合成語で後要素の清音が濁音に変化すること。
「カ→ガ・サ→ザ・タ→ダ・ハ→バ」の各行で起きる。
- 連濁の有無は時代によって変わる。連濁が消えた例「両方:りょうぼう→りょうほう」、連濁が生じた例「手書き:てかき→てがき」。
- 前後の要素が修飾関係ではなく、並列的な関係の時、連濁は起こりにくい。例「山川:やまかわ」
- 後部要素に濁音がある時、連濁が起こりにくい。例「ひとりたび」。ライマンの法則。
- 漢語・外来語よりも和語の方が連濁は起こりやすい。例「リゾートホテル」。例外的に起こる漢語の例「株式会社:かぶしきがいしゃ」「夫婦喧嘩:ふうふげんか」。
書き言葉と話し言葉
書き言葉
場面依存性・対面性・即効性が低い。
縮約性(文の省略・助詞の脱落)が少ない。
感動詞・応答詞・終助詞が現れにくい。
話し言葉
場面依存性・対面性・即効性が高い。
縮約性(文の省略・助詞の脱落)が多い。「〜しちゃった」
感動詞・応答詞・終助詞が現れやすい。「うん」
省略
例「あなたはこの本をインターネットで買ったんですか」
聞き手を表す成分「あなた」→省略可
動作の対象を表す成分「この本」→省略可
焦点部分「インターネットで買ったんですか」→省略できない
主語
「象は鼻が長い」「春だなぁ」→主語の認定が容易ではない。
「私は太郎だ」「私が太郎だ」→「私は/私が」どちらも主語。
「は」と「が」
「が」:新情報。聞き手にとって初めての言葉。格助詞。
「は」:旧情報。聞き手が既に知っていること。取り立て助詞。
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは山へ洗濯に行きました。
「だけ」の多義的な言い換え
すべて「だけ」に言い換えられる。
・朝10時までにご来店の方に限り、コーヒーのサービスがあります。
・いつもは積極的なあなたが、どうして今日に限って黙っているんですか。
・若いころは貧しくて、ただ働くのみの毎日だった。
・彼をおいて担当できる人はいない。
日本語能力試験(JLPT)の認定基準
- N1(上級):幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。
- N2(中級):日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より広い場面で使われる。日本語をある程度理解することができる。
- N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
- N4(初級):基本的な日本語を理解することができる。
- N5(初級):基本的な日本語をある程度理解するころができる。
・幅広い場面のための文法項目(ビジネス・アカデミックジャパニーズ):N1・N2
・日常生活のための文法項目:N3・N4・N5
受容・産出・やりとりの例
JFスタンダードの木。
・産出:スピーチ
・やりとり:電話