9.日本語教育文法

【日本語教師養成講座】9.日本語教育文法|③(自動詞と他動詞/ら抜き言葉・さ入れ言葉・れ足す言葉/主節と従属節/引用節/順接条件節と逆接条件説/コロケーション/連濁/書き言葉と話し言葉/省略/は・が)

9.日本語教育文法

日本語教育文法「自動詞と他動詞」「ら抜き言葉・さ入れ言葉・れ足す言葉」「主節と従属節」「引用節」「順接条件節と逆接条件説」「コロケーション」「連濁」「書き言葉と話し言葉」「省略」「は・が」などについてのまとめです。

自動詞と他動詞

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  • 自動詞:ヲ格の目的語を取らない「子どもが遊ぶ」。
  • 他動詞:ヲ格の目的語を取る「子どもがおもちゃ壊す」。他動詞文は動作主が対象の変化を引き起こす。語尾が「〜asu」になる。例「(自)溶ける→(他)溶かす」「(自)冷える→(他)冷やす」
    ニ格を取ることもある「犬が腕噛みつく」。
  • 自動詞と他動詞のペアがある動詞:自動詞「リンゴが落ちる」・他動詞「リンゴを落とす」。
  • 自動詞しかない動詞無対自動詞:「泳ぐ・走る」。
  • 他動詞しかない動詞無対他動詞:「疑う・断る」。
  • 自動詞と他動詞を兼ねる動詞自他動詞:「分解する」「決定する」。

ら抜き言葉・さ入れ言葉・れ足す言葉

変化中の標準語。現在も進行中である長期的な歴史的変化。

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  • ら抜き言葉:「動詞の受身形と可能形の分化」という。
    2グループの動詞と「来る」に見られる現象。「食べられる→食べれる」「見られる→見れる」「来られる→来れる」。
    受身形と可能形は同じ「食べられる」なのに「受身形:食べられる」「可能形:食べれる」と分けていう。
  • さ入れ言葉:1グループの動詞(辞書形が「す」以外)に見られる現象。「書かせる→書かさせる」「終わらせる→終わらさせる」。
  • れ足す言葉:1グループの動詞の可能形に「れ」を足してさらに可能形にする現象。「行けれる・読めれる・書けれる・飛べれる」。

複文の構造

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複文には文の中心となる主節従属節がある。

例:
「(主節)田中さんは/(従属節)風邪を引いて/(主節)学校を休んだ」

  • 主節:文の最後の述語を中心としたまとまり。
  • 従属節:主節以外の部分。従属節では「は」ではなく「が」を使う。

連体修飾と連用修飾

・連体修飾:静かな男性(名詞:被修飾名詞)→名詞を修飾
・連用修飾:急いで帰る(述語)→動詞を修飾

名詞修飾節・連体修飾節

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「母は、私がプレゼントした時計を気に入っている」。
名詞「時計」を修飾。名詞の手前までが名詞修飾節。

被修飾名詞の前に使う助詞は以下のものがある。

  • 「との」:「合格したとの通知」
  • 「って」:「それってひどいよね」
  • 「という」:「合格したという通知」

大使として赴任」は述語「赴任する」の修飾なので名詞修飾節ではない。「する」を省略してるだけ。

補足節・引用節

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  • 「〜と」:「世界一であると思う」「店番をしてとお願いする」「怪しいと疑う」「行かないとこぼしている」
  • 「〜ように」:「刈っておくように命じた」

引用節「〜と」の主節に使う動詞

  • 伝達を表す動詞「伝える」:引用節内にガ格をとる。「お客さんクレームを言っていると伝えた」。
  • 依頼を表す動詞「頼む」:引用節「〜しろと頼む」「〜てほしいと頼む」。
  • 発話を表す動詞「言う」:引用節内に終助詞が来る。「お客さんが店長を出せと言っています」。
  • 思考を表す動詞「思う」:引用節内に「デス・マス体」は使わない。「お金持ちになりたいですと思っています」はおかしい。

引用節「ように」のルール

  • 発話を表す「ように」:引用節内に過去形も使える。「難しい試験だったように言っていた」。
  • 依頼を表す「ように」:引用節内に丁寧体も使える。「してくださいますようにお願いいたします」。
  • 命令を表す「ように」:主節を省略できる。「この問題をやっておくように」。
  • 思考を表す「ように」:「に」は省略できる。「合格するよう願っている」。

引用の指導

「山口によれば、専門家になるためには大学時代が重要だと指摘している」
引用節:「専門家になるためには大学時代が重要だ」

「山口によれば、〜である」「山口は、〜と指摘している」が正しい。

順接条件節と逆説条件節

条件節・副詞節・連用修飾節。

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順接条件節

仮定「たらなら」。「と・ば・たら」は「なら」に置き換えができる。「とばたなら」

  • 「〜と」:秋になると、木々が紅葉する。
  • 「〜ば」:台風が来れば、運動会は中止。
  • 「〜たら」:宝くじが当たったら、家を買う。
  • 「〜なら」:沖縄に行くなら、僕も行きたい。

「明日になれば雨もやむでしょう」を「なら」に置き換えると「明日になるなら雨もやむでしょう」となり違和感があり仮定ではない。「僕はお酒なら冷酒だ」も仮定ではない。

逆説条件節

「(従属節)一生懸命勉強したが、(主節)合格しなかった」
→主節と従属節の文体(マス・タ)を合わせる

身体部位を含んだ表現・比喩

「腹を割って話す」「口を挟む」「手を出す」「耳を貸す」は比喩的な意味の慣用句。
「足を洗って家に入る」は悪いことを辞める意味ではない。

コロケーション

コロケーション=共起。関係している言葉。
「飲む」だと「ジュース」「コーヒー」「あまい」「すっきり」など。
「辞書」だと「引く」や「調べる」など自然な組み合わせがコロケーション。
「ハンガーに服を掛ける」のコロケーションを知らないと「服を付ける」と誤った言い方になる。(ハンガーと言えば掛ける)

誤用

発音上の誤用

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  • 子音の脱落:「その辺→その円(そのえん)」「後半→公安(こうあん)」「改変→開演(かいえん)」「五本→御恩(ごおん)」
  • リエゾン(連音):「千円→千年(senen)」「日本へ→にっぽね(nippone)」

助詞の誤用

  • 助詞の選択の誤り:「に」を使わずに「を」を使う。「会食を参加したい」「規則を従ってください」。
  • 「と・ば・たら・なら」の「ば」の誤用:「駅に着け→着いたら」「日本に帰れ→帰ったら」「お会いすれ→したら」「荷物が届け→届いたら」。

イ形容詞の誤用・ナ形容詞の誤用

  • イ形容詞の誤用:「昨日、近いスーパーで」「面白い」。
    イ形容詞にはダ・デアル体がない。
  • ナ形容詞の誤用:「豊かの教養」「このパソコンは丈夫し」。

「一番」の使い方

「吉田先生も一番やさしい先生」は「とても・すごく」を言うべき。「一番」と「も」が矛盾する。

「バスよりも地下鉄で行ったほうが一番早い」は2つの比較に「一番」はおかしい。

連濁

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無声子音(カ・サ・タ・ハ)が有声子音(ガ・ザ・ダ・バ)に変化する、合成語で後要素の清音が濁音に変化すること。
「カ→ガ・サ→ザ・タ→ダ・ハ→バ」の各行で起きる。

  • 連濁の有無は時代によって変わる。連濁が消えた例「両方:りょうぼう→りょうほう」、連濁が生じた例「手書き:てかき→てがき」。
  • 前後の要素が修飾関係ではなく、並列的な関係の時、連濁は起こりにくい。例「山川:やまかわ」
  • 後部要素に濁音がある時、連濁が起こりにくい。例「ひとりたび」。ライマンの法則。
  • 漢語・外来語よりも和語の方が連濁は起こりやすい。例「リゾートホテル」。例外的に起こる漢語の例「株式会社:かぶしきがいしゃ」「夫婦喧嘩:ふうふげんか」。

書き言葉と話し言葉

書き言葉

場面依存性・対面性・即効性が低い。
縮約性(文の省略・助詞の脱落)が少ない。
感動詞・応答詞・終助詞が現れにくい。

話し言葉

場面依存性・対面性・即効性が高い。
縮約性(文の省略・助詞の脱落)が多い。「〜しちゃった」
感動詞・応答詞・終助詞が現れやすい。「うん」

省略

例「あなたはこの本をインターネットで買ったんですか」

聞き手を表す成分「あなた」→省略可
動作の対象を表す成分「この本」→省略可
焦点部分「インターネットで買ったんですか」→省略できない

主語

「象は鼻が長い」「春だなぁ」→主語の認定が容易ではない。
「私は太郎だ」「私が太郎だ」→「私は/私が」どちらも主語。

「は」と「が」

「が」:情報。聞き手にとって初めての言葉。格助詞。
「は」:情報。聞き手が既に知っていること。取り立て助詞。

むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんいました。
おじいさん山へ柴刈りに、おばあさん山へ洗濯に行きました。

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