語用論的規範

7.語用論的規範|1.コミュニケーション能力(言語知識/コミュニケーション能力/コミュニケーション・ストラテジー)

7.語用論的規範|1.コミュニケーション能力(言語知識/コミュニケーション能力/コミュニケーション・ストラテジー)

ヒューマン

日本語教師養成講座の単元テスト用として自己学習のために作った穴埋めノートです。

空欄にマウスを置くかタップすると答えが表示されます。印刷時は答えを表示しています。

語用論的規範「言語知識」「コミュニケーション能力」「コミュニケーション・ストラテジー」などについてのまとめです。

言語知識

以下の5つがある。問題がある学習者の発話の例。

  1. 音韻論:発音「きょのしゅうぐだいをわすれましだ」
  2. 形態論:活用「音楽を聴きますながら、宿題をしっています」
  3. 統語論:語順「簡単な作り方から教えてもらいました」
  4. 意味論:語の選択「日本の食文化に趣味があります」
  5. 語用論:配慮「私が作った料理は美味しいから、食べてみたいですか?」

意味論と語用論の違い

「消しゴム持ってる?」の質問に対し、
意味論:「持ってる」ただそれだけ
語用論:「ごめん、1つしかないんだ」

「いいえ」でそのまま答えると語用論的におかしくなる。

コミュニケーション能力

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ハイムズ伝達能力を提唱し、コミュニケーションは言語能力だけでなく適切な言語使用が必要と主張。
これを基盤として国際交流基金はJF日本語教育スタンダードを作成。
カナルとスウェイン:コミュニケーション能力(伝達能力)は以下の4つから成るとした。

  1. 文法能力:正しい文を作る能力。文法語彙音声表記などの言語を形作る要素。
  2. 社会言語能力:相手や場面、社会的な背景に応じ適切な表現ができる能力。会話の相手に合った表現。社会言語学的能力。
    「先生はすごいですね」→目上の人を直接褒めるのは失礼。自分が勉強になったという。
    「先生、レポートを聞きたいですか」→「発表させていただけますか」という謙譲表現が適切。
  3. ストラテジー能力:言葉が思いつかない時に修復できる能力。
  4. 談話能力:相づちやそのタイミング、会話の切り出し「あのー」などのフィラーや順番(ターン)の取り方など。結束性のある発話。
    「いい天気ですね。論文を貸していただけませんか」→結束性がない会話。

JF日本語教育スタンダードでは、ストラテジー能力と談話能力を1つにして語用能力としている。
JF日本語教育スタンダード

ヤコブソン:コミュニケーションには6つの機能があると提唱。
「情動的機能・詩的機能・能動的機能・交話的機能・指示的機能・メタ言語的機能」

詩的機能

言語の具体的な内容よりも、言語そのものを使って遊べる機能。俳句、リズム、音の響き、しり取り、しゃれ、早口言葉など。コミュニケーションなので相手が必要。

交渉会話と交流会話

ブラウンとユールは、会話には交渉会話と交流会話があると指摘。

・交渉会話:やりとりを通して何か具体的な物事の処理を行う会話。「ご飯食べに行かない?」
・交流会話:日常会話。雑談。人間関係の維持に重点がある会話。「あの映画見た?」

社会言語学的

褒めの応答「Tシャツかわいいね」→否定応答「そうですか?セールで買った安物です」。

社会言語学的な逸脱

年下の生徒がため口で話す敬語の不使用。非母語話者に対して否定的な評価をすべき。

逸脱(違反)

非母語話者が母語話者の言語規範を違反すること。
母語話者の方が日本語が上手なので、非母語話者は母語話者の規範(ルール)に従う。

談話能力

中級以上の会話の授業は、談話能力を高める指導が必要。
日本語はSOV型なので文の一番重要な部分が最後に来る。よって途中で相づちを打たないと話し手が不安になる。よって学習者にある程度、相づちを打つように指導する。

書く授業でのコミュニケーション能力

中級以上は書く授業でもコミュニケーション能力を意識する。
・旅先で見聞きしたことを手紙で知らせる。
・取引先からの連絡内容を上司にメールで伝える。
・学食のアンケートを書く。

ある物語を別の登場人物の視点で再構築して書く。→これは一人で行う活動でコミュニケーション能力ではない。

プロフィシェンシーの育成

場面や状況に合わせて適切に言語を扱う能力。

コミュニケーション・ストラテジー

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コミュニケーション・ストラテジー(伝達方略):コミュニケーションを成功させるために別の語で言い換えたり易しい文型を使ったりする工夫。会話の授業で意識させる。
言いたいことが言えない時に母語を直訳して使う。

タローン:「話し手と聞き手の間で意味が共有されないときに、その両者が意味にたどり着こうとするお互いの努力」と定義し次のように分類。

  • 回避:複雑な文法構造を使わずに別の構造を使う。「誰かに足を踏まれた」→「誰かが足を踏んだ」
  • 言い換え:似た別の語を使う。新しい表現を作る造語などがある。「食パン」→「四角いパン」
  • 母語使用:部分的に母語を使うコード・スイッチングや英語などの共通言語を使う意識的な転移がある。
  • ジェスチャー:手ぶり・身ぶりに頼る。

言語処理ストラテジー

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ラネカーは言語習得モデルを認知言語学からアプローチ。それについて言語処理ストラテジーが研究され、ユニット形成のストラテジーと付加のストラテジーの2つが見られた。

  • ユニット形成のストラテジー:「その」と「あの」、「で」と「に」の混同。
  • 付加のストラテジー:「テレビがない」を「テレビあるじゃない」と言う。

「考えられません」を「考えれません」と言うのは、ただの「ら抜き言葉」で言語処理ストラテジーではない。

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