7.語用論的規範

【日本語教師養成講座】7.語用論的規範|4.ポライトネス(ポライトネス理論/ポジティブフェイス・ネガティブフェイス/ポジティブポライトネス・ネガティブポライトネス/丁寧さの原理)

7.語用論的規範|4.ポライトネス(ポライトネス/ポライトネス理論)

語用論的規範「ポライトネス理論」「ポジティブフェイス・ネガティブフェイス」「ポジティブポライトネス・ネガティブポライトネス」「丁寧さの原理」などについてのまとめです。

ポライトネス

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ポライトネス:相手に対する丁寧さ・配慮。
語の丁寧さではなく「相手が心地よくなる」「不要な緊張がないようにする」など人間関係を円滑にしていくための言語行動。よって普通体やタメ口も含む。

ブラウン&レビンソン:ポライトネス理論

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ブラウンとレビンソンが提唱。1980年以降「フェイス=欲求」とし、ポライトネスフェイスを鍵とした。

フェイス

人と人との関わり合いに関する基本的な欲求。
人には2つの欲求「かまって欲しい」「ほっといて欲しい」がある。

  • ポジティブ・フェイス(積極的):他者との関わりを望む欲求。他者と近づきたい、繋がりたい、褒められたい。
  • ネガティブ・フェイス(消極的):他者と距離を置くことを望む欲求。他者と離れていたい、立ち入られてくない。

ポライトネス・ストラテジー

ポライトネス・ストラテジー:人に配慮するための方略。
「ポジティブ・フェイス」「ネガティブ・フェイス」を侵害しないようにする作戦。以下の2つがある。

  • ポジティブ・ポライトネス:ポジティブ・フェイスに訴えかけるストラテジー。
    ポジティブ・フェイスに訴えかけるストラテジー。「ほめる・認める・挨拶する・同意する・共感する・注目する」など。
    褒める「そのバッグいいね」「〜さんすごいなあ」「さすが」。
    近づきたい「こんにちは」「そうですね」「わかる」。
    「おいしいから食べて」。
    冗談・ダジャレも。
  • ネガティブ・ポライトネス:相手のネガティブ・フェイスを確保するストラテジー。
    ネガティブ・フェイスに配置するストラテジー。「あのー、ちょっといいですか」などの前置きや、食事の誘いで「お腹が空いたな」と言う。
    前置き「あのー、すみません」「ちょっと伺いたいんですが」「申し訳ありませんが」「よろしければ」。
    敬語「です/ます」や「無理っぽいかなぁ」「いつも悪いね」と答えるのもネガティブ・ポライトネス。


会話の参加者は、自分だけでなく相手のフェイスも保持しようとしてお互いにFTAを避けようとする。いい関係を保ちながら話すということ。

FTAの度合いは国や文化によって違うし、会話の内容(傘を借りる時、1本しか持ってないか2本持ってるか)・社会的距離(上司と部下)・相手との関係(先生か友達か)によっても変わる。

FTA

FTA(Face Threatening Act):基本的欲求である「ポジティブ・フェイス」「ネガティブ・フェイス」を脅かすような言語的行動。

ボールド・オン・レコード・ストラテジー(直言)

相手のフェイスに配慮せず直接言う。「危ない!・家事だ!」など。

リーチ:ポライトネス理論

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丁寧さの原理:関係を円滑にするための配慮に関する原理。リーチが提唱。以下の6つがある。
ブラウン&レビンソンのポライトネス理論とは全く別物

  1. 気配りの公理:相手の負担は最小限に、相手の利益を最大限にせよ
    「何冊でも必要なだけ持っていってください」
  2. 寛大性の公理:自分の利益を最小限に、自分の負担を最大限にせよ
    「この2冊だけお借りします」
  3. 是認の公理:相手への非難を最小限に、相手への称賛を最大限にせよ
    ずいぶんよく書けていますねぇ
  4. 謙遜の公理:自分の称賛を最小限に、自分への非難を最大限にせよ
    「まだまだです」
  5. 合意の公理:相手との意見の相違を最小限に、相手との意見を最大限にせよ
    「そうですねぇ」
  6. 共感の公理:相手への反感を最小限に、相手との共感を最大限にせよ
    「おめでとう」
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