語用論的規範「言語変種」「言語の多様性」などについてのまとめです。
言語変種
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言語変種:言語の多様性のこと。「持ってあげましょうか?」「お持ちしましょうか?」「持って差し上げましょうか?」などいろいろある。目上かどうか、親しいいかどうか、身内かどうかなどによる。以下の2つに分けられる。
- 地域方言:地域の違いによる言語形式
- 社会方言:社会的な属性(ジェンダー・年齢)による言語形式
国語学では位相語と呼ばれる
地域方言
分布パターンは以下の3つに分けられる。
- 東西分布型:東日本と西日本で対立する言語分布「西=知らん」「東=知らない」
- 複雑分布型:ある言語形式が全国のいろいろな地域である「めだか・おたまじゃくし」
- 周圏分布型:言語形式が中心から外側に円状に変わる「新=デデムシ→旧=ナメクジ」
共通語と標準語
- 共通語:1つの国で共通に用いられる言語変種。日本語では東京方言が基盤となる。
- 標準語:国で規範とされる言語変種。
社会方言
以下4つがある。
- ジェンダー:男女の社会的役割による言語表現の違い「男性=めし」「女性=ご飯」
- 若者ことば:一時的に流行るがすぐ消滅する「マジ」「超」
- 幼児語:幼児に対して大人が使う言葉「ワンワン」「モグモグ」
- 役割語:特定の人物を思いおこさせる表現「雨かしら→女性」「雨かのう→老人」
言語の多様性
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コードスイッチング:相手によって言語を変える
スタイルシフト:相手によって話し方(丁寧さ)を変える
その他の言語変種
- ティチャートーク:教師が学習者に対して使用する言語変種
- フォリナートーク:母語話者が非母語話者に対して使用する言語変種(語彙がやさしくなる)
- ネイティブトーク:母語話者同士が使用する言語変種
- ベビートーク:母親が幼児に使用する言語変種(学習者を子ども扱いする)「よくできましたね」
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