日本語教師養成講座の単元テスト用として自己学習のために作った穴埋めノートです。
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語用論的規範「言語変種」「地域方言」「社会方言」「共通語」「標準語」「若者言葉・新語・流行語・役割後」「ネオ方言・新方言」「コード・スイッチング」「スタイルシフト(スピーチレベルシフト)」「ティーチャートーク」「フォーリナートーク」などについてのまとめです。
言語変種
言語変種:言語の多様性のこと。「持ってあげましょうか?」「お持ちしましょうか?」「持って差し上げましょうか?」などいろいろある。目上かどうか、親しいいかどうか、身内かどうかなどによる。以下の3つに分けられる。
- 地域方言:地域の違いによる言語形式。
- 社会方言:社会的な属性(ジェンダー・年齢)による言語形式。
国語学では位相語と呼ばれる。 - 地域方言と社会方言の両方の影響を受けた方言:「ネオ方言」と「新方言」がある。
地域方言
1970年頃までは方言を排除する方向だった。→特に沖縄で
分布パターンは以下の3つに分けられる。
- 東西分布型:東日本と西日本で対立する言語分布「西=知らん」「東=知らない」。
- 複雑分布型:ある言語形式が全国のいろいろな地域である「めだか・おたまじゃくし」。子どもの遊びに関わるものが多い。
- 周圏分布型:言語形式が中心から外側に円状に変わる「新=デデムシ→旧=ナメクジ」柳田國男の「蝸牛考」に書かれている。
東⻄⽅⾔境界線
「西=聞かん」「東=聞かない」。
「西=雨じゃ」「東=雨だ」。
「西=おる」「東=いる」。
「散っとる」「散りよる」:どちらも西。
共通語と標準語
- 共通語:1つの国で共通に用いられる言語変種。日本語では東京方言が基盤となる。
方言に対する言葉が「共通語」。 - 標準語:国で規範とされる言語変種。上田万年(かずとし)が作った。
国語の確立のため20世紀初め(明治時代後期)に普及。国語の教科書・ラジオ放送により広まった。標準語で国語を統一しようとした。
標準語に対する言葉が「共通語」ではない。
東京方言の特徴
・「箱」などが後ろにきた時、連濁を起こす。「ゴミ箱」。
・「北」などの無声音に挟まれた「イ・ウ」が無声化する。「北・草」。
・「若い」などの/ai/が[e:]になる。「わけー・たけー」。
・ガ行が鼻濁音になる。最近は少ない。
沖縄方言
明治時代、方言矯正教育として「⽅⾔札」を渡されて沖縄方言を使った人を罰した。
第二次世界大戦後、ヤマトグチ(大和の言葉)とウチナーグチ(沖縄の言葉)が混ざった。
変化中の標準語
社会方言
- ジェンダー:男女の社会的役割による言語表現の違い「男性=めし」「女性=ご飯」。社会文化的に形成された。
- 集団語:職業による言葉。専門用語。演劇界で「言い間違う」ことを「舌を噛む」という。
- 若者言葉:一時的に流行るがすぐ消滅する「マジ」「超」。年配の人に多いのは「T(ティー)」を「テー」という。
- 隠語:仲間内だけで通じる言葉。
- 新語:社会に新しい事物が生じた時に生まれた言葉。新しいイメージを植え付ける。
- 流行語:新鮮さや奇抜さで人々の注意を引き、一時的に使われる言葉。
他にも
- 幼児語:幼児に対して大人が使う言葉「ワンワン」「モグモグ」。
- 役割語:特定の人物を思いおこさせる表現「雨かしら→女性」「雨かのう→老人」。
アニメでよく使われるが、現実では使われていない。「老人:わしじゃよ」「中国人:違うあるよ」。
現在の位相(年齢・性別・職業による言葉の違い)や位相差を忠実に反映させている訳ではない。 - 俗語(ぞくご):日常的に使う言葉。「おでこ」は俗語、「ひたい」は一般語。
- 女房詞(にょうぼうことば):語頭に「お」がつく「おなか・おかず・おでん」、語尾に「もじ」がつく「しゃもじ」。
地域方言と社会方言の両方
地域方言と社会方言の両方の影響を受けた方言。以下の2つがある。
ネオ方言と新方言
- ネオ方言:共通語と地域方言が混ざり合って生まれた言葉。真田信治が提唱。
関西方言「けえへん」+共通語「来ない」→ネオ方言「こーへん」。 - 新方言:若者が使う地域色がある言葉。
元は方言だったけど、若者がそれを取り入れた。「うざい」「めっちゃ」。
若者言葉に似てるけど、新方言は一時的ではない。
マクドナルド:関西圏「マクド」・関東圏「マック」。
言語の多様性
コード・スイッチング:場面や相手によって使用する言語、言語変換を切り替えること。日本人と思って話しかけた相手が外国人だったことがわかり、英語で話す。
「コード=言語」
スタイルシフト:丁寧さを切り替えること。言語そのものを切り替えるコードスイッチングとは区別される。
コード・スイッチング
- 会話的コードスイッチング:会話の流れを維持しながら切り替える。
会話中に友達の言葉を英語に切り替える。 - 状況的コードスイッチング:状況の応じて切り替える。
日本語が分からない相手に英語で会話する。 - 隠喩的コードスイッチング:親密さや連帯感を強めるために切り替える。
アメリカ駐在の日本人家族の子どもが、親に分からないように英語の若者言葉に切り替える。隠喩=メタファー。
スタイルシフト(スピーチレベルシフト)
スピーチレベルシフト・スピーチスタイルシフトともいう。
・普通体→丁寧体:よそよそしさや怒り。
・丁寧体→普通体:なれなれしさや親しみ。
その他の言語変種
- ティチャートーク:教師が学習者に対して使用する言語変種。
直接法では既習語彙しか使えないので「一文を短くする」「短文で話す」「大きな声ではっきり話す」など。非文法的な発話はしない(文法に沿って文を作る)。 - フォリナートーク:母語話者が非母語話者に対して使用する言語変種(語彙がやさしくなる)。
- ネイティブトーク:母語話者同士が使用する言語変種。
- ベビートーク:母親が幼児に使用する言語変種(学習者を子ども扱いする)「よくできましたね」。幼児語とは異なる。
言文一致体
書き言葉を話し言葉に近づける。小説に口語文を取り入れた。
・二葉亭四迷「だ調」
・尾崎紅葉「である調」
・山田美妙(びみょう)「ですます調」