7.語用論的規範

【日本語教師養成講座】7.語用論的規範|7.日本語教育のための日本語分析(待遇表現/絶対敬語と相対敬語/ウチとソト/尊敬語・謙譲語・丁寧語・美化語/素材敬語と対者敬語/人称詞)

7.語用論的規範|7.日本語教育のための日本語分析

語用論的規範「待遇表現」「絶対敬語と相対敬語」「ウチとソト」「尊敬語・謙譲語・丁寧語・美化語」「素材敬語と対者敬語」「人称詞」などについてのまとめです。

待遇表現

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自分と相手との上下意識や親疎意識などの社会的・心理的距離に基づき変化する表現。

指導の例

・上司の意思を聞くとき
「なさるつもりですか」→「なさるつもりでしょうか」文末ほど重要。
・教師の能力を聞くとき
「おできになりますか」→教師の能力を直接聞くのは不適切。「学びたい」という意思を伝える。
・目上の人の依頼を断るとき
「いたしません」と謙譲語で断る→「すみません、時間がありませんので・・・」のように非優先応答(言いさし)を使う。
・マイナス敬語
「この野郎」などはマンガにも出てくるので意味を知りたい場合は教えてもよい。
・目上の人には私的領域に踏み込む内容を尋ねることを避ける。

絶対敬語と相対敬語

  • 絶対敬語:状況や場面に関わりなく上下関係を重視した言語形式が固定的な敬語。
  • 相対敬語:上下関係よりもウチとソトの関係が重視されるため、同じ出来事であっても尊敬語になったり謙譲語になったりする敬語。

相対敬語の使用は日本語の特徴。

相手を低くするぞんざいな語

貶称(へんしょう)という。
待遇表現には、相手を高く・自分を低くする「敬語」以外にも、相手を低く見る「おまえ」「隣のじじい」などのマイナス表現も含む。

ウチとソト

最近では上下関係の意識がうすれ、ウチとソトの関係が重視されている。

敬語の指針:尊敬語・謙譲語・丁寧語・美化語

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2007年文化審議会国語分科会で出された。3種類から5種類になった。

2007年文化審議会国語分科会「敬語の指針」
  • 尊敬語:「いらしゃる・おっしゃる」型。素材敬語。
    尊敬語は主語がえらい人「〜様」→相手側の行為や物事になどについて、相手側の人物を立てる。
    「こちらにお名前をお書きください」の「お名前」は相手の名前なので尊敬語。
  • 謙譲語Ⅰ:「伺う・申し上げる」型。素材敬語。
    自分側の行為や物事などを下げて言うことで、相手側の人物を立てる。
  • 謙譲語Ⅱ(丁重語):「参る・申す」型。対者敬語。
    自分側の行為や物事などを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。
    改まりを示すもので、相手側の人物を立てるものではない
  • 丁寧語:「です・ます」型。対者敬語。
    相手に対して丁寧に言う。敬意を表わす相手の有無に関係なく使う。
  • 美化語:「お酒・お料理・お土産」型。
    物事を美化して言う、敬意を表わす相手の有無に関係なく使う。

「伺う」:謙譲語Ⅰ。相手を高く。
「参る」:謙譲語Ⅱ。自分を低く。
「拝見する」:相手のものを見る時に使うので「掲示板を拝見する」とは言わない。

待遇表現 特定の形式

素材敬語と対者敬語

素材敬語:話の材料になる人やモノに対する敬語。話題の人物(素材)に対する敬語。
対者敬語聞き手や読み手に対する敬語。その場にいる話題の人物に対してのものではない。自分側の行為に対するもの。

人称詞

会話の中で出てくる人称詞(にんしょうし)は、以下の3つに分類される。

  • 自称詞(一人称):学習者に対して自分のことを「先生」という。
    述語が「〜たい」で終わる場合は、自分のこと(一人称)なので主語を省略していい。
  • 対称詞(二人称):学習者が教師に「先生」という。
    「あなた(貴方)」は指示詞「こそあど」から転用してできた。→「こなた・そなた・あなた・どなた」。
    「お前」「貴様」は以前は「御前」で尊敬詞だったが敬意が低減した。
  • 他称詞(三人称):学習者同士の会話で先生のことを「先生」という。

親族間の対称詞(二人称)

親が子どもに対して名前で言うほか、人称代名詞「あなた」とも言うことができる。
人称代名詞:わたし・あなた・彼。

丁寧さの規範からの逸脱

丁寧な使い方ではなく、丁寧さを目的としないおかしな使い方。
丁寧だけど丁寧じゃない。

例:仕事を辞めて旅に出る息子に「どうぞ勝手になさいませ」という。

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