11〜13.日本語教育実践

【日本語教師養成講座】12.日本語教育実践2(生活者/ビジネスパーソン):①(やさしい日本語/生活者としての外国人/介護・看護に関わる外国人/ビジネスパーソン/児童・生徒/BJT/オールドカマー・ニューカマー)

12.日本語教育実践2(生活者/ビジネスパーソン)

日本語教育実践(生活者/ビジネスパーソン)「やさしい日本語」「生活者としての外国人」「介護・看護に関わる外国人」「ビジネスパーソン」「児童・生徒」「BJT」「オールドカマー・ニューカマー」などについてのまとめです。

やさしい日本語ルール

  1. 難しい言葉を避ける。
  2. 一文は短く分かち書きにする。文構造を簡単にする。
  3. 災害時などによく使われる言葉・知っておいた方がいい言葉はそのままにする。
  4. 外来語を使用する際は気をつける。→「バス」など外来語しかないものは使っていい
  5. ローマ字は使わない。
  6. 擬音語擬態語は避ける。
  7. 漢字漢字の使用量に注意する。ふりがなをふる。
  8. 時間年月日は分かりやすく。→「2020年6月4日」「午前9時から午後6時まで」
  9. 動詞を名詞化したものは避ける。
  10. あいまいな表現はさける。→「9時30分ごろ」ではなく「午前8時から午前9時まで」
  11. 二重否定は避ける。→「ないわけではない」
  12. 文末表現は統一する。→「です・ます」

二重否定

「楽しくなくはない」:否定文より肯定文の意味に近い。

「ですます体」と「である体」

文末表現。

  • ですます体(デス・マス体):丁寧体。疑問文が作れるので初級でする。取扱説明書。
  • である体(ダ・デアル体)

生活者としての外国人

文化庁より日本語教育の目的・目標。

目的

言語・文化の相互尊重を前提としながら、「生活者としての外国人」が日本語で意思疎通を図り生活できるようになること。

目標

日本語を用いて、

  1. 健康かつ安全に生活を送ることができるようにすること。
  2. 自立した生活を送ることができるようにすること。
  3. 相互理解を図り、社会の一員として生活を送ることができるようにすること。
  4. 文化的な生活を送ることができるようにすること。

看護・介護に関わる人たちへの日本語教育

EPA(経済連携協定):人材をいただく代わりに経済的な保証は日本がする。インドネシア・フィリピン・ベトナムから始まり「特定活動」ビザにより看護師・介護福祉士候補生を受け入れた。 

  • 2008年インドネシア:104名来日。国家試験84人チャレンジ→合格者0。
  • 2009年フィリピン:応募資格は看護師資格・大卒・看護学校4年以上。
  • 2014年ベトナム:応募資格は看護学校卒・2年以上の実務経験・N3以上。

日本にて研修期間(看護師3年・介護士4年)後、国家試験に合格し就労を認める。

合格率が低い問題の解決法

2010年度の国家試験から、以下を対応。

2010年度の国家試験から
  1. 難解漢字:ふりがなをふる「脆弱」→「ぜいじゃく」。
  2. 難解な用語:置き換える「段階的に」→「少しずつ」。
  3. 難しい病名:英語表記追加「糖尿病」→「diabetic mellitus」。
  4. 主語や目的語の省略:構文の工夫(主語や目的語を削らないように)。
  5. 人の名前:原語名の併記「エリクソン」→「エリクソンE.H」。
  6. 否定形設問の指示形式:肯定表現に転換「ないものはない」としない。 

2012年度の国家試験から、以下を対応。

2012年度の国家試験から
  1. 漢字には全てふりがなをふる:ふりがなあり・なしが選べる。
  2. 試験時間の延長:問題を読むのに時間がかかるため。

ビジネスパーソンの日本語教育

BJTビジネス日本語能力テスト

BJT(Business Japanese Proficiency Test):ビジネス・コミュニケーション能力を測るテスト。
待遇表現やウチとソトの概念など 。
大規模試験でIRTを採用。
試験の結果がスコアとレベルで判定(J5〜J1・J1+の6段階レベル)。
試験問題が公開されない。
CBT方式でいつでもブースで受けれる。
合格・不合格がない。
記述式はない。
高度人材ポイント制:BJT480点以上で15ポイント。

  • JSP(Japanese for Specific Purpose):ビジネス・介護に特化した日本語
  • JGP(Japanese for General Purpose):普通の日本語

実施機関

・1996年〜:日本貿易振興協機構(JETRO:ジェトロ)
・2009年〜:公益財団法人 日本漢字能力検定協会

児童・生徒への日本語教育

来日した時期によって在日外国人を以下のように呼ぶ。

オールドカマーとニューカマー

  • オールドカマー:日本の朝鮮植民地支配よるルーツをもつ人たちと、その子孫。戦前から日本に滞在、定住。関西に多い。→在留資格「特別永住者
  • ニューカマー:1970年代以降に来日した外国人。中国残留邦人インドシナ難民日系三世が該当する。→在留資格「定住者
  • 日系三世:日本から各々の国に移住した日本人が日本に戻ってきた。血筋としては日本人なので、定住者ビザ。
    1990年の入管法の改正によりその子・孫など日系人が急増。住むところが固まっている集住地区の代表は以下3都市。

    • 愛知豊田市:トヨタ
    • 静岡浜松市:ヤマハ・スズキ
    • 群馬太田市:工業地域

    日本語指導が必要な児童生徒の母語

    文部科学省が調査。

    日本語指導が必要な児童生徒の母語

    1位:ポルトガル語(ブラジルの日系三世)
    2位:中国語
    3位:フィリピン語(フィリピノ語・タガログ語)
    4位:スペイン語(南米の日系三世)
    5位:ベトナム

    日本国籍:義務教育
    外国人児童生徒:義務教育は希望

    ユネスコが決めた「学習権宣言」「児童の権利に関する条約」によるもの

    ヒューマンアカデミー(2017)『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第4版』翔泳社