11〜13.日本語教育実践

【日本語教師養成講座】13.日本語教育実践3(技能別指導) :②中上級の授業|読解(読解授業の流れ/ピア・リーディング/ジグソー・リーディング/トップダウンとボトムアップ/相互交流モデル)

13.日本語教育実践3(技能別指導)/②中上級の授業|読解

日本語教育実践(技能別指導)「中上級の読解授業」「ピア・リーディング」「ジグソー・リーディング」「トップダウンモデルとボトムアップモデル」「相互交流モデル」などについてのまとめです。

中上級の読解授業

できるだけ文脈場面を手がかりに、背景知識を使って推測しながら読ませる。自分の理解をモニターしながら読ませる。

新出語の扱い

・内容理解に重要でなく、覚える必要のない語の説明は省く。→質問があった時に対応。
・内容理解に需要でなくても、覚えるべき語は事前に指導する。→重要でないなら事前に指導しなくていい。事後に指導

前作業のポイント

  • 背景知識(スキーマ)の活性化。
  • 動機付け理解に必要な知識の確認。
  • 映像や生教材など副教材を活用。
  • 語彙は文章理解に必要なキーワードのみ。

本作業のポイント

  • 質問シートをに配布。
  • 精読した後、質問シートの答え合わせ。語彙・表現の指導は臨機応変に。
  • 細かく丁寧に読む「精読」は、基本的に1回。
  • 教師から質問する場合は、大意質問から細部質問の順。

後作業のポイント

  • トピックを使った別の活動を行う。読む以外の活動。
  • 語彙文法の練習を広げる。
  • 意見や感想を述べるようにアウトプットを心がける。

様々な読み方

  • ピア・リーディング:学習者同士で読む。(レベルの近い同士がよい)
    学習者同士が対話し、助け合いながら理解していく。
  • ジグソー・リーディング:段落ごとにカードを作って並び替える。
    学習者がそれぞれ異なったテキストを読んで、情報を持ち寄って全体を作り上げる。
    ジグソー・リーディングの教材としてふさわしくないもの:広く内容が知られている物語。
    発表の注意点:ポーズを入れて分かりやすく読む。
  • フレーズ・リーデング:句読点じゃなく意味の固まりで読む。
  • タスク・リーディング:特定の目的のための読み物。学校だより・遠足案内など。
  • プロセス・リーディング:グループで1つの読み物を読む。

トップダウンモデルとボトムアップモデル

トップダウンモデル

背景知識を活性化した後、語彙や文型を確認。速読向き。
スキャニング:必要な情報だけ抜き取って読む。
スキミング:だいたいの内容をつかんで読む。
ボトムアップモデルより難しい。

ボトムアップモデル

最初に語彙や文型を確認した後、読解を行う。単語→文→文章。精読向き。

ボトムアップモデル トップダウンモデル
1 本作業(前作業は別にある)
文型導入・練習、語彙の説明
前作業
キーワード確認
2 本作業
本文を読む
本作業
本文を読む
3 本作業
読解文内容理解
本作業
読解文内容理解
4 後作業
語彙練習
本文の内容を話し合う
後作業
文型導入・練習、語彙の説明
本文の内容を話し合う

相互交流モデル:両方のモデルを使うこと。

思考ツール

フィッシュボーン図(特性要因図):問題の要因を細分化して整理する。

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