11〜13.日本語教育実践

【日本語教師養成講座】13.日本語教育実践3(技能別指導) :③中上級の授業|聴解(聴解のポイント/学習者に求められるもの/問題の作り方/聴解授業の流れ/ディクトコンポ/ディクトグロス/再話)

13.日本語教育実践3(技能別指導)/③中上級の授業|聴解

日本語教育実践(技能別指導)「中上級の聴解のポイント」「学習者に求められるもの」「聴解問題の作り方」「聴解授業の流れ」「ディクトコンポ」「ディクトグロス」「再話」などについてのまとめです。

中上級の聴解のポイント

読解のように学習者のペースに合わせた理解が難しい。
キャッチすべき内容と情報を事前に確認する。質問の作り方、特に間隔の取り方に注意。

3〜4行に1つの質問。
質問文・選択文は短くわかりやすく(1行程度)。
選択問題や正誤問題がいい。
単語で答えさせる、文で答えさせない。

聴解教材の作成

・幅広い分野からトピックを選ぶ。
・一貫性(始めから終わりまで繋がっている)のあるテクストを選ぶ。

学習者に求められるもの

  • スキャニング:必要な情報を拾いながら聴く。
  • マッチング:正しいかどうか確認しながら聴く。
  • 反応:会話文を聴いた後、何と言っていたか質問したり感想を述べる。
  • モニター:聴解内容の理解度を確認。「モニター=観察」。
  • ストラテジー(戦略):理解できなかったことを質問する、もう一回聴かせてと学習者が言ったりすること。

聴解問題の作り方

前作業・後作業はアウトプットでいい。

  1. 全体的な大意質問と必要な情報だけを聴き取る細部質問をバランスよく。
  2. 問題の間隔に気をつける。
    問題が多すぎる場合:解答している間に次の質問を聴き逃す。
    問題が少ない場合:目的を持って聴かなくなる。
  3. よく使われる問題形式:質問法(単語で解答させる)、穴埋め法、多肢選択法、正誤問題。

聴解授業の流れ

前作業

背景知識(スキーマ)の活性化。キーワードの確認。

本作業

  1. 聴解内容の紹介。
  2. 質問シートの配布。
  3. 聴き取って欲しいこと、質問に出ることを軽く説明。
  4. 聴解1回目(止めない)。
  5. 聴解2回目(止めない)→内容によって3回目も流す。
  6. 再話:だいたいどんな内容だったか感想を聞く。
    聴き取った内容を再現することで、単語や表現を定着させるため。
  7. 答え合わせ:音声流して答えるところで止める。
  8. 精読:聴解3回目:スクリプトの穴埋めなどアレンジする。シャドーイングなど。
  9. スクリプトを配布(聴解3回目で配布してもいい)。
  10. 語彙・表現の説明。

後作業

聴解のトピック、語彙や表現を発展。ロールプレイなど。
本作業が受容(読む・聞く)なので、産出(書く・話す)を取り入れる。

本作業+α

  • ディクテーション:元の文章と同じものを作成。
  • シャドーイング:CDや教師の音声を追いながら発音。
  • ディクトコンポ:途中まで聴いて、その後を自分で考えて書く。dict=書き取り。
  • ディクトグロス:文を聴いて、ペアやグループで復元する。dictogloss。
    教師が読み上げた文章をメモや記憶を基に協力して再構築する。
  • リピーティング:教師の言ったことをそのまま繰り返す。
  • 再話:聴いた文をペアに伝える。聞き取った単語や表現を定着させるため。

一文ずつ区切りながら聴くのはボトムアップ型の活動。

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