5.言語と心理

【日本語教師養成講座】5.言語と心理|1.異文化接触と異文化理解(カルチャーショック/Uカーブ・Wカーブ/キムのらせん状図/自己開示/ジョハリの窓/アサーティブコミュニケーション/エポケー・アノミー/ステレオタイプ/直接・双方向方略/合理化)

5.言語と心理|1.異文化接触と異文化理解

言語と心理「カルチャーショック」「Uカーブ・Wカーブ」「キムのらせん状図」「自己開示」「ジョハリの窓」「アサーティブコミュニケーション」「エポケー・アノミー」「ステレオタイプ」「直接・双方向方略」「合理化」などについてのまとめです。

異文化理解と心理

異文化接触

異文化接触とは、ある程度の文化化を経た人が他の集団やその成員と行う相互作用のこと。

カルチャーショック:慣れ親しんだ行動規範を喪失することによって起こるストレス。
文化化:幼い頃から周囲の人やメディアから習慣や常識・ルールを身につけること。
成長する過程で所属集団の文化的要素を身につけること。
新しい文化を身につけることではない。

Uカーブ・Wカーブ

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異文化と接触した際、自文化との違いに衝撃を受けること。慣れ親しんだ行動規範を喪失すること。
アドラーはカルチャーショックを「異文化に接触して、自己を再発見し、異文化について学ぶ過程」と言った。

心理的適応度の変化

  • Uカーブ:異文化との接触時から帰国直前まで。リスガードが提唱。
    ハネムーン期ショック期回復期安定期の4段階。
    →ハネムーン期・不適応期・適応期の3段階に分ける場合もある。
    Uカーブ曲線、エントリーショックの段階。
  • Wカーブ:異文化と帰国の両方。ガラホーン&ガラホーンが提唱。
    Wカーブ曲線、帰国後はリエントリーショックまたは逆カルチャーショックの段階。
    帰国後のショックの方が大きい場合がある。
心理的適応度 カルチャーショック

ハネムーン期が1〜3ヶ月、その後下降して、ショック期が半年〜1年。
移住後1年前後が精神面で危機的。
ショックの程度は年代によって異なり、思春期や高齢者は現地に適応しにくい。

キムのらせん状図

異文化適応をストレス適応成長のダイナミクスとして説明。螺旋がだんだん小さくなりながら右上に伸びる。

キムのらせん状図

自己開示

自己開示:⾔語を介して⾃分に関する情報を他者に伝えること。自己開示が高くなれば自己の明確化が行われる。

ジョハリの窓

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ジョハリの窓:自己分析するために使うツール。ジェセフ・ラフトとハリントン・インガムが作った。
自分について自分が「知っている・知らない」。
自分について他人が「知っている・知らない」。
他の人とコミュニケーションをとるとき、どこの領域が広くなりますか?

  • 開放の窓:++。
    自分について自分も他人も知っていること。自分の内面を開示している部分。
  • 隠ぺいの窓(秘密の窓):+ー。
    自分について自分は知っているが他人は知らない。自分を上手く表現できていない部分。
  • 目隠しされた窓(盲目の窓):ー+。
    自分について自分は知らないが他は知っていること。他者に知られているのに自分は知らないので自己中になる。人に言われても気にしない。自分だけ気づいてない。頑固。
  • 未知の窓:ーー。
    自分について自分も他人も知らないこと。自分も周りも気づいていない。
ジョハリの窓

ベリーの文化変容モデルの図と似ている。

アサーティブ・コミュニケーション

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アサーティブコミュニケーション:相手に共感してから自分の意見を言う。
相互に理解しあうコミュニケーションのこと。一方的に意見を主張することではなく、相手の意見も尊重する。
自分の意見を言わずに我慢するのではなく、自分の意見は言って相手の意見を理解すること。
異文化に適応するために有効だとされる態度。自分のことについて相手に話をするオープンな態度。

エンパシー(共感)

認知的な共感:異文化の価値基準を理解するように心がける。
感情的な共感:他人の感情を理解し自分のものとして共有する。

エポケー・アノミー

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  • エポケー:判断停止・判断留保。自分が理解できないことに接したときに、一時的に判断を停止留保すること。カッとしてすぐに言い返せずに少し考える
  • アノミー:どうしていいかわからない状態。
    個人または集団相互の関係を規制していた社会的規範が弛緩または崩壊したときに生ずる混沌(こんとん)状態。複数の文化に属するものが、文化間の優劣に意識を持ったり、両者の摩擦の下、葛藤を抱えてその状況に対応できなくなったりする状態。
    戦争中に植民地になった時、その支配された国の文化に従わなければならない。その時に生じる感覚と同じ。

他の国に行った時、自分の国の文化と他の国文化のどっちを優先したらよいか混乱した時に起こるのがアノミー。その時、立ち止まって考えるのがエポケー

ステレオタイプ

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ステレオタイプ:特定の集団や文化に対する画一的な固定観念イメージ。
相手の文化を知識として事前に知っておくのにはいいが、時に偏見や差別になる。
偏見は感情(行動ではない)、差別は排除行動。

留学生からみた日本人のイメージ

几帳面・時間に正確・礼儀正しい・シャイ→みんながそうではない。

カテゴリー化

過渡のカテゴリー化:今の中学生はみんなスマホ依存症だ。
→少数の事例をひとまとめにしている。

集団間接触モデル

教育現場で複数の集団が接触した時にすること。個人ではなく集団。
脱カテゴリー化・再カテゴリー化・カテゴリー化の顕現性(けんげんせい:明確にすること)の維持の3段階がある。

再カテゴリー化の例

留学生と日本人学生が〇〇大学の学生代表として模擬店を出店する。

異文化間葛藤

人間関係に対する価値観などが自文化とは相反すると感じること。
葛藤解決方略として以下のものがある。

直接・双方向方略

葛藤解決方略の中で「直接・双方向方略」とは、説得、交換取引、妥協。

例:深夜まで騒いでいる隣人を説得し、夜10時以降は騒がないというルールを作る。

防衛機制:合理化

異文化適応のために、心の安定を保とうとすること。
防衛機制のひとつ「合理化」は、言い訳
もっともらしい理由をつけて納得させる(逃げてる訳じゃない)。

例:漢字が読めない学生が「会話に漢字は不要だから問題ない」と自分で納得する。

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