3.社会・文化・地域/言語と社会

【日本語教師養成講座】3.社会・文化・地域/言語と社会|3.異文化接触(ニューカマー/ラージシーとスモールシー/アコモデーション理論/コンバージェンスとダイバージェンス/多文化共生)

3.社会・文化・地域/言語と社会|3.異文化接触

社会・文化・地域/言語と社会「ニューカマー」「インドシナ難民」「中国残留邦人」「ラージシーとスモールシー」「アコモデーション理論」「コンバージェンスとダイバージェンス」「多文化共生」などについてのまとめです。

ニューカマー

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ニューカマー:インドシナ難民・中国残留邦人とその家族・外国人労働者(南米日系人)・外国人配偶者および児童生徒のこと。
1970年代〜1980年代にかけて国が支援した。
在留資格は定住者

インドシナ難民

ベトナム戦争(1975年)後、インドシナ3国(ベトナム・ラオス・カンボジア)の人たちが社会主義体制に反抗して国外に逃げる。

  • ランド・ピープル:陸に逃げた人。
  • ボート・ピープル:海に逃げた人。

2017年時点、インドシナ難民に対して文化庁が「条約難民に対する日本語教育事業」を行っている。
日本語教育は行うが、能力を測るものではない(日本語能力検定試験とは関係ない)。

中国残留邦人

中国残留孤児・中国残留婦人をまとめて中国残留邦人(中国帰国者)という。満州事変(1931年)で満州国に行った女性たちが残された。日中国交正常化(1972年)以降、日本に帰国。

異文化適応

ラージシーとスモールシー

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ブルックスは文化には2つ側面があると言った。

  • ラージシー文化(C文化・高文化):見える文化。
    人間生活におけるすべてのものの中で最良なものとしての文化
    例:伝統的な神社仏閣・着物・建築・料理。
  • スモールシー文化(c文化・低文化):見えない文化。
    人間生活における全てのものとしての文化。カルチャーBBVともいう。
    例:電車が時間通りに来る。行列に並ぶ。生活習慣・価値観。

スモールシー文化について書かれた書籍

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  • ベネディクトの「菊と刀」:西洋文化を対比させながら日本文化の特性を書いた。
  • 中根千枝の「タテ社会の人間関係」「タテ社会の力学」:日本の集団構成は家や社会といった「場」の共有に基づくものと説明。
  • 土居健朗(たけお)の「甘えの構造」:心理学者(一体感)。

アコモデーション理論

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アコモデーション理論(適応理論):相手によって話し方を変える。
以下の2つがある。

  • コンバージェンス(収束):相手に近づく。親しみを示す。
    子どもに対して育児語を使う・上司が部下に若者言葉を使う・留学から帰国した日本人が日本語っぽい英語発音で話す。
    convergence「con=共に」。
  • ダイバージェンス(分岐):相手から遠ざかる。
    上京しても東京で方言で話す。
    divergence「di=ギリシャ語で2・分離」。

多文化共生

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2006年:総務省が「多文化共生の推進に関する研究会」を発表。
多文化共生を以下のように定義した。

国籍や民族など異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと。

ヒューマンアカデミー(2017)『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第4版』翔泳社