8.形態・語彙・意味

【日本語教師養成講座】8.形態・語彙・意味|②(語構成・単純語・合成語・派生語・複合語・畳語/統語構造・重複構造・並列構造/理解語彙と使用語彙(産出語彙)/基礎語彙と基本語彙/異なり語数・延べ語数/自動詞と他動詞・自他の対応/意志動詞と無意志動詞/動き動詞(動作動詞と変化動詞)・状態動詞/継続動詞・瞬間動詞・第4の動詞/補助動詞)

8.形態・語彙・意味|②

形態・語彙・意味「語構成(単純語・合成語・派生語・複合語・畳語)」「統語構造・重複構造・並列構造」「複合語の構成要素(品詞の分析)」「理解語彙と使用語彙(産出語彙)」「基礎語彙と基本語彙」「異なり語数・延べ語数」「自動詞と他動詞・自他の対応」「意志動詞と無意志動詞」「動き動詞(動作動詞と変化動詞)・状態動詞」「継続動詞・瞬間動詞・第4の動詞」「補助動詞」などについてのまとめです。

語構成

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漢語の構成。大きく単純語合成語に分けられる。
合成語はさらに派生語複合語畳語に分けられる。

単純語

これ以上分けられない語。
例:「ペン・雨・本・傘」

合成語:派生語

語基接辞からなる。
語基:単独で使える
接辞:独立できない

  • 酒屋:語基「酒(さけ)」/接辞(接尾辞):屋(や)
  • お嫁さん:接辞(接頭辞)「お」/語基:嫁(よめ)/接辞(接尾辞)「さん」
    →「よめ」だけで使える自由形式
  • お姉さん:接辞(接頭辞)「お」/語基:姉(ねえ)/接辞(接尾辞)「さん」
    →「ねえ」だけで使えない拘束形式

合成語:複合語

語基2つからなる。独立しても意味が分かる。

  • 統語構造:文法的な関係で並んでいる「雨降り・雨傘・兄嫁・長いす・川下り」。
    「雨傘(あまがさ)」は「あま」と「がさ」は単独で言わないので拘束形式。
  • 重複構造:対等の関係で並んでいる「人びと・長々・泣き泣き」。
  • 並列構造:「左右・上下・兄弟」。

複合語のパターンいろいろ

  • 「主語+述語」:日没(日が沈む)・国立
  • 「述語+補語(目的語)」:読書(書を読む)・乗車
  • 「述語+補語(目的語)」:耳当て(耳に当てる)・下敷き(下に敷く)
  • 「修飾語+被修飾語」:美人(美しい人)・読者「どんな何」
  • 「修飾語+被修飾語」:緩行(かんこう)・急遽(急いで進む)
  • 「同じような意味」:河川・樹木:森林
  • 「反対の意味」:上下・裏表・善悪・左右

合成語:畳語

同一の語基からなる語「ニコニコ・ヨチヨチ・サラサラ」。

「あの人はニコニコしてるね」が「あの人はニタニタしてるね」だと意味が変わってくる。
→学習者には分かりにくく、自分からは使いにくい。

複合語の構成要素(品詞の分析)

統語構造の場合。

  • 「名詞+名詞」:勉強机
  • 「名詞+名詞」:たてよこ・うえした・親子→対等の関係
  • 「名詞+の+名詞」:アルミ缶・石段・ささぶね
  • 「名詞+動詞(マス形)」:稲刈り・金貸し・靴みがき・鉛筆けずり
  • 「動詞(マス形)+名詞」:食べ物・張り紙・積み木・飲み薬
  • 「動詞(マス形)+動詞(マス形)」:あげさげ・やりとり→対等の関係
  • 「名詞+イ形容詞」:肌寒い
  • 「イ形容詞+名詞」:厚紙・白犬・細うで

理解語彙と使用語彙(産出語彙)

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  • 理解語彙:読んだり聞いたりして、意味が理解できる語彙。
  • 使用語彙(産出語彙):話したり書いたりして、実際に使用できる語彙。

日本語母語話者(成人)の
理解語彙:40,000語〜50,000語程度→多い
使用語彙:10,000語程度

基礎語彙と基本語彙

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基礎語彙:使用頻度が高く日常的。必要だと思われる語を、選定者が主観的に選定したもの。できるだけ少数の語で、広範囲のことから表現できるように配慮して選定する。
「料理」の場合:「混ぜる・切る」

基本語彙:具体的な言語資料の統計調査により、客観的に選定された語彙。調査対象に頻繁に現れる語彙は、その分野における基本的な語彙だと捉えられる。
「料理」の場合:「隠し味・和え物」

異なり語数・延べ語数

「むかし/むかし/ある/ところ/に/おじいさん/と/おばあさん/が/あり/ました。
おじいさん/は/山へ/しばかり/に/、おばあさん/は/川/へ/せんたく/に/行き/まし/た。」

  • 単位語:このように単語切りした言葉。
  • 同語異語判別:文法的な形式や表記が異なる単位語をまとめること。
  • 見出し語:単位語を同語異語判別によりまとめた語。
  • 異なり語数:見出し語の総数。語彙数ともいう。重複は1でカウント
  • 述べ語数:すべての見出し語の使用頻度の総数。重複は別々にカウント
  • 使用率:それぞれの見出し語の使用頻度を述べ語数で割る。「使用回数÷延べ語数」
  • 語彙表:見出し語を使用頻度または使用率の順に並べたもの。

自動詞と他動詞・自他の対応

自動詞と他動詞

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  • 自動詞:ヲ格の目的語を取らない「子どもが遊ぶ」。
  • 他動詞:ヲ格の目的語を取る「子どもがおもちゃ壊す」。他動詞文は動作主が対象の変化を引き起こす。語尾が「〜asu」になる。例「(自)溶ける→(他)溶かす」「(自)冷える→(他)冷やす」
    ニ格を取ることもある「犬が腕噛みつく」。

自他の対応

  • 自動詞と他動詞のペアがある動詞:自動詞「リンゴが落ちる」・他動詞「リンゴを落とす」。
  • 自動詞しかない動詞無対自動詞:「泳ぐ・走る」。
  • 他動詞しかない動詞無対他動詞:「疑う・断る」。
  • 自動詞と他動詞を兼ねる動詞自他動詞:「分解する」「決定する」。
自動詞 他動詞 自他の対応
つく つける 自他の対応がある
なくなる なくす 自他の対応がある
閉まる 閉める 自他の対応がある
買う 自他の対応がない
泣く 自他の対応がない
食べる 自他の対応がない
転がる 転がす 自他の対応がある
光る 光らす 自他の対応がある
遊ぶ 自他の対応がない
教える 自他の対応がない

意志動詞と無意志動詞

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  • 意思動詞:意思的に制御可能な事柄を表す。「遊ぶ・書く・勉強する・乾かす」。
  • 無意思動詞:意思的に制御不可能な事柄を表す。「流れる・乾く・老いる・降る」。
    人の意思が関わる表現(命令・禁止・依頼・勧誘等)に、無意思動詞は使えない。「乾こう・老いよう」は言わない。
    「流れろ・乾け・老いろ・降れ」→命令形にできない。

同じ動詞が意思動詞・無意識動詞の両方に用いられることや、意思動詞が無意思動詞的に用いられたり、逆に無意思動詞が意思動詞的に用いられたりすることもある。
その際「わざと」「故意に」「うっかり」などの副詞や「〜てしまう」のような形式が用いられることが多い。

例:
無意思動詞「ハンカチを落としてしまった」
意思動詞的「あの人の気を引くために、わざとハンカチを落とした」

動き動詞(動作動詞と変化動詞)・状態動詞

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動き動詞(非状態動詞)

動作動詞:「走る・電話する」ル形は未来を表す。
変化動詞:「変わる・破れる」。

状態性述語

状態動詞:「ある・いる」。

金田一春彦による動詞の分類

状態動詞・継続動詞・瞬間動詞・第4の動詞

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「〜ている」をつけた時に意味が異なる。

  • 状態動詞:「ル形」で現在の状態。「ある・いる・できる」。
  • 継続動詞:「テイル形」で動きの進行。「読む・書く・笑う・散る・降る」。
  • 瞬間動詞:「テイル形」で動作の結果。「消える・届く・曲がる・始まる」。
  • 第4の動詞:「ル形」が不自然。「テイル形」で形容詞のように状態を表す。「優れる」「ずば抜ける」。
    僕は母に似ている:不自然「僕は母に似る」
    山がそびえている:不自然「山がそびえる」
    太郎は徹より優れている:不自然「太郎は徹より優れる」

補助動詞

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補助動詞:「座ってみる・飾ってある・忘れてしまう・見えてくる・置いておく・持っていく・連れていく」。
本動詞「見る・在る・来る・行く」の意味は薄い。
テ形+補助動詞」の形。補助動詞は平仮名で書く。

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