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日本語教育実践(技能別指導)「中上級の口頭表現のポイント」「主な口頭表現活動」「口頭表現の流れ」「授業の注意点」などについてのまとめです。
中上級の口頭表現のポイント
- 流暢さを養成するために使用するトピックや語彙表現・課題がやさしいもので、学習者が楽しめる活動内容にすること。
- 初級は「正確さ」が重視されるが、中上級クラスでは流暢さが重視される。間違っていても途中で止めずに最後まで聞く。
主な口頭表現活動
対話
- ロールプレイ:それぞれに役割を与えて、その役になりきる。情報差(インフォメーションギャップ)がある。言葉選び(チョイス)が自由。
タスク先行型のロールプレイ:ロールカード配布→すぐに会話。
タスク後行型のロールプレイ:ロールカード配布→使って欲しい言葉を教える→ロールカードを見せ合って会話を組み立てる(負担軽減)。 - ディスカッション:ある事柄についてグループ内で自由に意見を言い合う。
パネルディスカッション:公開して協力的な議論を行う(政治家・教育いろんな方面からくる)、平和的。 - ディベート:2つのグループ(賛成派・反対派)を作り、討論する。自分の意見を有利に運ぶ。
独話
- スピーチ:自分の考えや気持ちを他人の前で話す。原稿作成は一人でも可能。
- 発表:自分の考えを述べたり、成果物(作文・絵)を口頭で共有する。
- プレゼンテーション:あるトピックについて情報を提示する。
- ストーリーテリング:物語化して語る。食洗機を売る時に子供が多い家庭の話をする。初級の導入向け。
- ショーアンドテル:写真や絵を見せて語る。
口頭表現の流れ(ロールプレイの場合)
前作業
本作業で扱うトピックに関して、背景知識(スキーマ)の活性化。
キーワード確認。
本作業
パターン1
より上級クラス向き。
- ロールカードを配布:説明してやることを理解させる。
- 会話シートを配布:各グループで会話を作成。教師は机間巡視する。間違いがあれば修正。
- ロールプレイ:1組ずつ前に出てさせる。教師は必ずどんなところがよかったかフィードバックを行う。
- モデル会話を聴く:教師が読むのではなく読ませる。穴埋めにしてもいい。
- 語彙表現の確認:料理のトピックだと「混ぜる」「焼く」など。このタイミングではなくロールカード配布後にすることもある。
パターン2
文の作成が苦手な学習者向き。
- 語彙表現の確認。
- ロールカードを配布:説明してやることを理解させる。
- モデル会話で一度練習。
- 会話シートを配布:各グループで会話を作成。
- ロールプレイ:1組ずつ前に出てさせる。
後作業
本作業のトピックをや語彙表現を広げた活動。別のロールカードを渡して即興でさせてもいい。
授業の注意点
- 場面設定は機能を明確にして、状況設定を明確に短くまとめる。
- 発表時は、会話シートをなるべく読ませない。
- 会話の途中で間違いを積極的に注意しない。暗示的フィードバック(リキャスト)を心がけてさりげなく訂正。
ミステイク:修正がしやすい。
エラー:修正が難しい。
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