日本語教師養成講座の単元テスト用として自己学習のために作った穴埋めノートです。
空欄を選択すると答えが表示されます。印刷時は答えを表示しています(倍率70%が◎)。
日本語教育実践(技能別指導)「中上級の口頭表現のポイント」「ロールプレイ」「ディスカッション」「ディベート」「ストーリーテリング」「ショーアンドテル」「口頭表現授業の流れ」「授業の注意点」「タスク先行型の会話指導法」などについてのまとめです。
中上級の口頭表現のポイント
- 流暢さを養成するために使用するトピックや語彙表現・課題がやさしいもので、学習者が楽しめる活動内容にすること。
- 初級は「正確さ」が重視されるが、中上級クラスでは流暢さが重視される。間違っていても途中で止めずに最後まで聞く。
主な口頭表現活動
対話
- ロールプレイ:それぞれに役割を与えて、その役になりきる。情報差(インフォメーションギャップ)がある。言葉選び(チョイス)が自由。
タスク先行型のロールプレイ:ロールカード配布→すぐに会話。
タスク後行型のロールプレイ:ロールカード配布→使って欲しい言葉を教える→ロールカードを見せ合って会話を組み立てる(負担軽減)。 - ディスカッション:ある事柄についてグループ内で自由に意見を言い合う。
話し合いのルール:意見と発話者の人格を結び付けない。
テーマ:冷静な話し合いができなくなるので個人的な事情があるテーマは避ける。
観察者は討論者の発言だけでなく、非言語的要素も観察する(発言者の気持ちが分かる)。
パネルディスカッション:公開して協力的な議論を行う(政治家・教育いろんな方面からくる)、平和的。 - ディベート:2つのグループ(賛成派・反対派)を作り、討論する。自分の意見を有利に運ぶ。
話し合いのルール:話す順序・発話の時間配分を決めておく。賛成・反対の立場を明確にする。質問の答えを準備しておく。
独話
- スピーチ:自分の考えや気持ちを他人の前で話す。原稿作成は一人でも可能。
- 発表:自分の考えを述べたり、成果物(作文・絵)を口頭で共有する。
- プレゼンテーション:あるトピックについて情報を提示する。
- ストーリーテリング:物語化して語る。食洗機を売る時に子供が多い家庭の話をする。初級の導入向け。
- ショーアンドテル:写真や絵を見せて語る。
口頭表現の流れ(ロールプレイの場合)
前作業
本作業で扱うトピックに関して、スキーマの活性化(背景知識の活性化)。
キーワード確認。
本作業
パターン1
より上級クラス向き。
- ロールカードを配布:説明してやることを理解させる。
- 会話シートを配布:各グループで会話を作成。教師は机間巡視する。間違いがあれば修正。
- ロールプレイ:1組ずつ前に出てさせる。教師は必ずどんなところがよかったかフィードバックを行う。
言語能力の限界に気づかせる。 - モデル会話を聴く:教師が読むのではなく読ませる。穴埋めにしてもいい。
- 語彙表現の確認:料理のトピックだと「混ぜる」「焼く」など。このタイミングではなくロールカード配布後にすることもある。
パターン2
文の作成が苦手な学習者向き。
- 語彙表現の確認。
- ロールカードを配布:説明してやることを理解させる。
- モデル会話で一度練習。
- 会話シートを配布:各グループで会話を作成。
- ロールプレイ:1組ずつ前に出てさせる。
後作業
本作業のトピックをや語彙表現を広げた活動。別のロールカードを渡して即興でさせてもいい。
授業の注意点
- 場面設定は機能を明確にして、状況設定を明確に短くまとめる。
- 発表時は、会話シートをなるべく読ませない。
- 会話の途中で間違いを積極的に注意しない。リキャスト(暗示的フィードバック)を心がけてさりげなく訂正。
ミステイク:修正がしやすい。
エラー:修正が難しい。 - プレゼンテーション後の質疑応答のとき、スライドの画面は消さない方がいい。
- スライド:アニメーションや効果音の多用はダメ。
モデル会話を使った会話活動
スクリプト:日常生活で起こる典型的な順序や流れを考慮する。
トップダウンモデル:最初にモデル会話の映像を見せて状況を把握させる。
ボトムアップモデル:語彙・文型導入・発音練習を最初にする。
タスク先行型の会話指導法
・事前に文型・語彙の導入は行わずに、試行錯誤しながらとにかく先にロールプレイ(タスク)をやってもらう。
・でも、準備する時間は与える。
・既習の語と表現だけタスクが遂行できるトピックにはしない。
・Yes/No疑問文よりもWH疑問文を設定する。→「できない」経験をなるべくさせる。
・ロールカードを読むのが負担になる場合は、母語で書いてもいい。→理解することが大事。
・タスク先行型(表現の練習より先にロールプレイ)にする目的:言語能力の限界に気づかせるため。「言いたいこと」「言えること」の違いに気づかせる。
ロールプレイ向きの内容
・新しく開発した筆記用具を置いてもらうために交渉する。→向かない(学習者にとって現実的でない)。
・大学で研修生として受け入れてもらえるよう交渉する。→向かない(一方的)。
・パーティーでスピーチをする。→向かない(一方的)。
・借りてたパソコンが壊れたので事情を説明して許してもらう。→ロールプレイに向いてる。実際あり得る話。真正性がある。