6.音声・音韻/文字・表記

【日本語教師養成講座】6.音声・音韻/文字・表記|1.母音・子音(口腔断面図 /声帯振動/有声音と無声音/特殊拍/母音と子音/調音点/調音法/音声記号/鼻母音)

6.音声・音韻/文字・表記|1.母音・子音(アクセント/声帯振動/母音と子音)

音声・音韻/文字・表記「口腔断面図」「声帯振動」「有声音と無声音」「特殊拍」「母音と子音」「調音点」「調音法」「音声記号」「鼻母音」などについてのまとめです。

このページの要約
  • 日本語教育能力検定試験の「音声・文字」分野の重要ポイントを網羅
  • 調音点・調音法の違いや、拍(モーラ)と音節の数え方を分かりやすく解説
  • 独学では理解しにくい「音韻」の概念を専門用語を使って整理

日本語教師向けの自作「口腔断面図カード」の作り方と活用法

検定試験に備えて口腔断面図カードを作っちゃいました(笑)

日本語教育能力検定試験:口腔断面図カード

こちらの口腔断面図カードをnoteでダウンロードできるようにしました。きっと試験対策のお役に立てると思います

声帯振動の有無とは?有声音と無声音の見分け方

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声帯の振動音=声。

  • 有声音:声帯振動「有」、声門が開閉する。
    声帯の振動音が加わった息で作られる音「ビタミンシー」の「イ(長音・ー)」。
    声帯が振動するとき声門が開閉する。
  • 無声音:声帯振動「無」、声門が閉じている。
    息のみで作られる音「(静かに)シー」。

・ささやき声:声帯振動「無」・声門が閉じている。
・息を吸う時(呼吸時):声帯振動「無」・声門が開いている。
・息もれ音:声帯振動「ゆるく有」・声門が少し開いている。

日本語教育における音声の練習方法

  • 喉仏に手を当てる:声帯振動の有無を感じる方法。
  • 耳を手でふさぐ:これも声帯振動の有無を感じる方法。有声音と無声音を区別する。頭蓋骨にも伝わる。
  • 口の前に薄い紙を垂らす:有気音の練習。有気音・無気音は無声音。
  • 鼻から息を抜く:鼻音の練習。
  • 鼻をつまむ:鼻音の練習。

仮名で示される音の種類:自立した音と特殊拍(自立しない音)の違い

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自立した音(単独でも発音できる音)の特徴

直音:「ア」「カ」など仮名1文字の音
拗音:「キャ・シュ・ニョ」のようにイ段に小さい「ャ・ュ・ョ」を添えた音。
濁音:「ガ・ジ・ヅ・ベ」のように濁点がついた音。
半濁音:「パ・ポ」のように半濁点がついた音。
清音:濁音・半濁音以外の音。
ちなみに、
濁点:子音が無声音の時、声帯振動を加えて有声音にする記号。

自立しない音(特殊拍)の種類と教え方

「ン」「ッ」「ー」は特殊拍という。特殊拍は1つの拍として数える。
撥音:「ン」。
促音:「ッ」。
長音:「ー」→子音音素は含まない。

日本語の「母音」と「子音」の定義と基本的な違い

ア行「ア・イ・ウ・エ・オ」は母音で声を伴う。

  • 母音:息(気流の流れ)の妨害「無」、すべて有声音、声道に狭めや閉鎖がない。
  • 子音:息(気流の流れ)の妨害「有」、有声音も無声音もある、声道に狭めや閉鎖がある。気流の流れを妨げるのが調音点、妨げ方が調音法。

母音はどう分類される?舌の高さと前後位置による音の変化

以下の3つの特徴で分類。

  1. 舌の上下の位置:声道の大きさを変える、口の開き具合、高(狭)・中(半狭・半広)・低(広)
  2. 舌の前後の位置:声道の形状を変える、前舌・後舌(まえじた・あとじた)
  3. 唇の丸め(突き出し)の有無:円唇・非円唇
    英語の[u]は円唇。
唇の丸め舌の前後の位置舌の高さ音声記号
イ非円唇前舌高(狭)[i]
エ非円唇前舌中[e]
ア非円唇低(広)[a]
オ円唇後舌中[o]
ウ非円唇後舌高(狭)[ɯ]
母音の舌の位置

読み方

高母音:こうぼいん/狭母音:せまぼいん
中母音:ちゅうぼいん/中母音:なかぼいん
低母音:ていぼいん/広母音:ひろぼいん

狭母音・中母音・広母音は、湯桶読みする(訓読み+音読み)。

子音を分類する3つの重要要素:有声・無声、調音点、調音法

以下の3つの特徴で分類。

  1. 声帯振動の有無:無声音か有声音か
  2. 調音点:息を妨害する位置の違い
  3. 調音法:息を妨害する方法の違い

1.有声音・無声音(無声子音)の判別ポイント

  • 有声音:ガザダバ・ナマヤラワ行の子音。
  • 無声音:カサタハパ行の子音。→無声子音

促音「ッ」の後は無声子音がくる。例外で「バッグ・ベッド」だが日本人は習慣的に「バック・ベット」と言う。

行子音
半濁音の行パ無声音歴史的には本来のハ行
濁音の行ガザダバ有声音濁点により含まれる子音が有声音になる
清音の行カサタハ無声音含まれる子音が無声音
清音の行ナマヤラワ有声音含まれる子音が有声音で濁点は付かない

2.調音点(Place of Articulation)の基礎知識

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子音を作るために呼気を妨害する位置(場所)で、以下の8つがある。

調音点
  • 両唇:上唇と下唇を閉じたり接近させたりする
  • 声門:声帯の息が通る隙間
  • 口蓋:上顎全体を表わす
  • 歯茎:前歯の裏(しけい)
  • 歯茎硬口蓋:硬口蓋のうち歯茎よりの部分(しけいこうこうがい)
  • 硬口蓋:口蓋のうち前部のツルツルの部分
  • 軟口蓋:口蓋のうち後部のヒダヒダの部分
  • 口蓋垂:軟口蓋のうちノドチンコのあたり(こうがいすい)
調音点
両唇歯茎歯茎硬口蓋硬口蓋軟口蓋声門
フサスセソ
ザズザゾ
シジヒハヘホ
パバタダチヂカガ
マナニ
ラヤユワ
パバマフサザタラナラシジチヂニヤヒカガワハヘホ
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赤本の埋め方だけど、ややこしくて覚えにくい。

調音点の埋め方
  1. カ行〜マ行「カサタナパマ」を入れる(5つ)
  2. それぞれに濁点をつけた行「ガザダバ」を入れる(4つ)
  3. 歯茎音のイの段(濁点も)を歯茎硬口蓋に入れる(5つ)
  4. ハ行を入れる(5つ)
  5. ヤラワを入れる(3つ)

3.調音法(Manner of Articulation)の種類と分類

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口腔(コウコウ)内における呼気の妨害の方法で、以下の8つがある。

  1. 鼻音:マ行・ナ行・鼻濁音のガ行。
    口腔を調音点で閉鎖して、鼻への息の通り道が開く。
  2. 破裂音:カ行・ガ行・タテト・ダデド・パ行・バ行。
    口腔を調音点で閉鎖して、鼻への息の通り道が開かない。
  3. 摩擦音:サ行・ハ行・語中のザ行(ヂズも)。
    口腔を調音点で狭めを作り、鼻への息の通り道が開かない。
  4. 破擦音:チ・ツ・語頭のザ行(ヂズも)。
    口腔を調音点で閉鎖して、破裂音の直後に摩擦音が起きて合成される。
  5. 弾き音:ラ行。
    口腔を調音点で閉鎖して、調音点を舌が軽く1回叩くように触れて弾く。(はじき音)
  6. 震え音:巻き舌。
    調音点で舌などを2回以上震わせる。
  7. 側面音:英語のL。
    調音点で舌が呼気の通路の中央を閉鎖し、舌の両脇から息を出す。
  8. 半母音(接近音):ヤ行・ワ行。
    半母音は接近音の一種。狭母音(イ・ウ)と同じ舌の状態が維持せず子音として働く。

鼻音・破裂音・摩擦音
鼻への息の通り道が開くのは鼻音。
調音点で閉鎖が作られるのは鼻音破裂音。
調音点で隙間が作られるのは摩擦音。

【一覧表】調音点・調音法・有声・無声の分類まとめ

両唇歯茎歯茎硬口蓋硬口蓋軟口蓋声門
摩擦音無声フ[ɸ]サスセソシヒハヘホ
有声ザズゼゾ中ジ中
破裂音無声パ[p]タカ
有声バ[b]ダガ
鼻音有声マ[m]ナニ
弾き音有声ラ
接近音
半母音
有声ヤユワ
破擦音無声ツチ
有声ザ頭ジ頭
調音点・調音法・有声音・無声音

ツ[tsu]:歯茎破擦音。英語に「tsu」の音がない。月「ツキ」が「スキ」になる。
英語のth[θ]:日本語にはない。
調音点「両唇」は4つだけ:[ɸ][p][b][m]

口腔断面図で見る子音の調音点と調音法の解説

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口腔断面図での調音点・調音法

国際音声記号(IPA)の基礎:二重調音や二重母音の知識

ひ:[ç]
し:[ɕ]
い:[i]
う:[ɯ]
く:[k]
じぢ:[d͡ʑ]
ふ:[ɸ]
ぷ:[p]
ら行:[ɾ]
ざずぜぞづ:[d͡z]
や行:[j]

軟口蓋・摩擦音

普段使わない音
「カー」ッペ:[x]
アヒルの「グァ」:[ɣ]

二重調音の仕組み

英語のワ:[w]→「wonderful」両唇(唇の丸め)と軟口蓋(狭め)の2か所が同時に調音点となる。
日本語のワ:[ɰ]は二重調音ではない。

二重母音の特徴

英語の[ei]の発音が二重母音。
ゲーム・セールスマン・メール・ケーキ。

音声記号(IPA)をコピー&ペーストできる便利なサイト

国際音声記号(IPA) キーボード

日本語には存在しない音の音声記号

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以下は日本語音ではない。

  • [θ]:英語のThink。歯摩擦音。
  • [v]:ヴァイオリンの「ヴァ」。唇⻭⾳(しんし音)
  • [r]:スペイン語・イタリア語の巻き舌(ふるえ音)。

音が抜ける仕組みとは?鼻母音と鼻濁音の濁音化について

  • 口音:口から抜ける音。こうおん。
  • 鼻音:鼻から抜ける音。びおん。
  • 鼻母音:鼻と口から抜ける音。びぼいん。「あいうえお」を鼻にかけて言う感じ。

日本語教育における鼻母音の解説

「ン」の後ろに来る音に閉鎖がない調音点の時、鼻母音になる。
閉鎖がある時は普通の鼻音。

閉鎖がない調音法

・母音[a][i][ɯ][e][o]:アイウエオ→「うんえい」
・半母音[j][ɰ]:ヤユヨ・ワ→「しんや」
・摩擦音[s][ɕ][ɸ][ç][h]:サスセソ・シ・フ・ヒ・ハヘホ→「しんせつ」

鼻濁音の濁音化が起こる条件と特徴

ガ行音:ガギグゲゴの音。

  • 先頭のガ行音は鼻母音[ɡ]:「技術者」。
  • 語中のガ行音は[ŋ]:「弁護士・大学生・手芸展・家具屋」。

最近、語中の[ŋ]を[ɡ]のように発音する傾向にある→鼻濁音の濁音化。

鼻濁音

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ガ行音を「ンガ・ンギ・ング・ンゲ・ンゴ」のように発音すること。

ヒューマンアカデミー(2017)『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第4版』翔泳社